賢者の書
賢者の書シリーズはスリート・ルーインのメモ帳みたいなものなので、中身はぐちゃぐちゃ。
時系列とか、縦書き横書きなんかも無視されたメモ帳です。
本当にあったらすっごく読みづらそう・・・なので、ところどころ「あれ?おかしいな?」と思っても9割がた問題ないです。
安心してお読みください
~賢者の書~
私が生み出した二つのものは世界に幸せと不幸を呼び寄せ、神の怒りに触れてしまったようだ。
幼い時に見た神は私にこう言った。
「世界に魔法を広めよ」
だから広めた。世界を旅して、様々な固有魔法……いや、『神の呪い』とでも言うべきかな。
私の妻は不老不死であった。才能に溢れ、最近では『魔道具』なる新しい魔法の形まで作り上げてしまうほどに、彼女は天才だった。
私は彼女だけを残して死ぬのは嫌だった。魔法で何とか寿命を延ばすことには成功したが、真に不老不死の固有魔法を持つ彼女にとっては些細な時間の違いでしかない。
だから私は、神が創った魔法を解除する術式を求めた。
その副産物として、友人と妻を幽体化させたり魔獣を遠ざける術式が完成したわけだが、私は満たされなかった。
妻はいつまでも友人といられるのは嬉しいと言ってくれたが、人間と幽霊を行き来できるのは妻だけ。
急がなくては。
このメモ帳も残りが少なくなってきた。
本当はこんなことを書くのは間違っているかもしれないが、子供が生まれた。
名前は水無月・ルーイン・氷雨。女の子だ。 私の名字と菫の名字が英語と日本語のせいで……?
やはり、あの神は間違っている。
いや、あれは本当に神なのだろうか?
今思えば、なんでも解析できる魔法・魔力は結果しか出力しない。手順なんて最初からなくて……
最早この魔力を見る目さえも、アイツにかけられた固有魔法のようなものじゃないか。あの神は何を考えているんだ?
この目は、この世界において神になるための道具の様な物じゃないか……まずい、このままだと、妻と子供が危ない。
どうせ死ぬ命。妻と子供だけは、未完成のこの術式で絶対に守って見せる。