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異世界流しに遭った私の異世界生活  作者: プニぷに
第一章:新世界
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8B:霙の過去

霙の過去ですが、霙ちゃんの綺麗なイメージを崩されたくない方は霙ちゃんは過去に嫌な目にあったんだ~位の考えでも恐らく大丈夫です。


イメージより霙ちゃんをもっと知りたい!という方は心して読んでくれると霙を含めて、ワタシタチも嬉しいです。

 神無月 霙(かんなづき みぞれ)の過去。


「エリンさん。本当に嫌な記憶だから、一回で覚えて二度と聞かないでね」


「……うん」



 ――3歳の時に公園のトイレで見つけた一冊の漫画。

 内容は……エッチなやつ。


 おかげさまで、幼い私は悪影響を受けて、その本に描いてあったことを見様見真似(みようみまね)して、何度も母親に怒られた。


 それでも私はやめなかった。だって、キモチイインダモン。キヒヒッ

 オトウトガデキタ、どうしてやろうかな?


 それでね、6歳になってね、小学校に行ったらね、いじめられたの。

 みんな私が悪いんだって。ママと先生に言われた……でもね、ミゾレなにもしてないよ。

 静かに本を読んでたの、それだけ……本もとられて……殴られて、蹴られて……ミゾレもね、おんなじことをしたの。

 そしたら『血を流してナイチャッタ』※右に引きつった歪んだ笑み

 あ! あとね、ミゾレのこと『ハゲ』って言った6年生のひとをね、2人泣かせたんだよ。もう一人は逃げちゃったんだけどね、すっごくスッキリしたんだ~


 2年生の時。私が病気になった。病院に行って、入院した。私には何にもなかったけど、母親が変わった。

 「私のせいだ」とか、「私がちゃんと管理してなかったから」だとか、何を言ってるのか分からない。分かるのは、もうあの時の優しい母親は消え去ったということ。


 学校に戻って、『バカ』って言われた。入院で勉強なんて知らない。スポーツはできたけど、それだけ。



 3年生の時、我慢できずに弟に『あの本』の内容を教えた。来年は一緒の学校。一人ではできないことも一匹のオスとメスがいれば……ね。

 学校に行けばいじめられ、家に帰れば親からの虐待。

 ご飯を食べさせてもらえない日。

 しゃべると怒られる日。しゃべらないと家族じゃないって怒られる日。

 話が聞こえなくて怒られる日。

 殴られ、蹴られ、踏みつけられ、弟に八つ当たりしたら家から放り出されて、玄関前の(さく)が私の背中を痛めつける。


 ああ、こんなの私じゃない。あれは母親じゃない。アレは知らない。似てるだけ。私が悪い、私が悪くていい気味だ、悪いイキモノはダメ。

 学校で教わった。

 私は悪くない。アイツラが悪くないんだから同じことしてる私も悪くない……コレハワタシジャナインダヨ。


 4年生の時、転校生がやってきた。

 彼もすぐにワタシタチみたいに『多数派とは少し違う子』をイジメ始めた。

 ここまでくると内容も酷くなっていく。男子トイレに引きずり込まれたり、分厚い本を投げつけられたり、何よりも辛かったのは、自分がそれを言っても信じてもらえないこと。

 よくも悪くも私は丈夫で、回復が人よりも少し早くて、運動神経が良いせいで、簡単に防御してしまう。


 簡単に見えるから、向こうだって躍起(やっき)になる。倒せない()、無表情な()をなんとか倒したいというゲーム。


 いじめられっ子は他の生徒とは隔離されたような扱いを受け、結果として、いじめられっ子の友達はいじめられっ子である。私はなれあってくるそいつらをなんとも思ってない。

 ミニクイ。キタナイ。ナレアイ。イラナイ。

 言いたいことが言えなくて? だったらどんな手段でもいいから助けを呼べ。努力しろ。できないなら周りに文句を言う前に自分に文句を言え。


 転校生は私を罵倒し、押し倒し、ミンナの前で頭を踏みつけ、私のズボンを脱がして、男子トイレに隠したのだ。


 そこで、私は初めて『殺そう』と思った。

 次の日、笑ってる転校生を見て『どうやって苦しめよう』とか『どうやって殺そう』とかいう考えが吹き飛んだ。本能のままアイツをぐちゃぐちゃにしようと思った。


 後ろから走って飛び蹴り。笑いながら転校生の名前と一緒に挨拶しながらアイツを吹っ飛ばしたのは最高の気分だった。

 倒れたアイツの顔をボコボコに殴りつけたのは最高の気分だった。

 泣いてるソレに罵詈雑言の雨を降らせるのも、ソイツを階段から転がすのも、転がったソレに思いっきり上からジャンプして踏みつけるのも、どれもこれも先生に止められるまでのすべてが幸福で満たされていた。


 放課後、先生から怒られた。

 右側に座っている転校生に涙を見せたくなかった。

 涙は左目からしか出なかった。



 5年生の時。

 他人より肌が過敏で、くすぐったがりな私を皆が(はずか)しめた。


 イヤらしい声のようで、悲痛な喘ぎ声私をアイツらは多目的トイレに縛り付け、醜い性欲をぶつけてきた。


家庭での暴力はさらに酷くなり、何も話してないのに『今、舌打ちしただろ』と言われ、言ってないと言うと『私にはアンタの心の声が聞こえたんですぅ』などと言い、『心のそこから、何もいってない』と返すと、『普通、家族だったら会話の一つや二つあるのにね!』と怒鳴られる。


 6年生になった時、私は12歳になったかな?

 イジメは私だけではなく、先生にも……


 先生にアダナを付け、罵倒し、教卓を破壊し、授業を破滅させる……先生は来なくなった。


 クラスで生きてるイキモノどもが、あの教師を嫌う理由の分からない俺は、唯一まともな生徒で、他のクラスの連中も『まだ神無月さんがいるから』などと訳のわからんことを言っていた。


 まだ、あの教師がいたとき。

 全生徒が受ける目の検査があった。頭のいい俺様は、なるべく目の力を使わないために目を瞑っていた。

 すると、あろうことか担任は私に話しかけてきやがった。

 『大丈夫か?』『はい、大丈夫です。こうすることで目の力を高めています』すると、しゃべった私だけが医者の手伝いをしている保険担当の教師に怒られた。話しかけてきたのはアイツ、だから私は助け舟を期待して担任を見た。


 すると……

 アイツは……キヒィッ!※怒りのこもった歪み顔


 とぼけた顔して、目を見開いて、アゴを前に出してきた。

 もう、こいつがどうなろうと知ったこっちゃない。イジメられて当然だ。




 中学生になって、私たちも13歳。

 アタイは初めて、天使を見た。

 みんないい子。授業は真面目に聞くし、明るくて誰にでも優しい。あまりの天使ぶりに、こいつらは仮面を被った狡猾(こうかつ)な連中なのでは?と、戦慄(せんりつ)したほどだ。


 その中で、一番アタイに優しい人物。我輩(わがはい)に初めて優しく、仲良く、人間としての動きや考え方を教えてくれて、『私達』という考え方を教えてくれた人。

 自分が尽くすべき相手だと思った。

 私は、彼を敬意を込めて『ご主人様』と呼ばせていただいていた。


 三年間。私とご主人様の関係は主従関係以上の制圧性があった。彼が言うことが正しければすべて従い、悪であったならば早急に全力を持って正し、間違いを促そうとするものは誰であろうと容赦しない。

 容赦のない私を優しく止めてくれるご主人様はなんて慈悲深いのだろうか?

 あんな悪人を『友達』と言い、私の制裁から彼らを守る。

 素晴らしいご主人様。


 独り占めにしたいとも思った。


 誰かと楽しそうに話していると、イライラして、話し相手を睨んだり、二度と近づけないようにしてやろうかとも考えたが、それを実行することは無かった。


 なぜか? ご主人様に止められたから。


 不思議なことが一つ。

 後輩に『先輩って性格が急に変わりますけど……多重人格だったりしますか?』

 初めて言われた。

 他の人にも聞いて、情報をまとめて自分でも勉強して、

 私って人格? 性格? が変わったりしてたんだ……

 私って異常だったんだ……

 私の『普通』は狂気に満ちた『異常』だったんだ……


 私は『自分』を殺すのをやめて、ナニモノでナンナノかを考えるために家を出て、近くに住んでいた祖母の家に居候することにした。



 高校生。

 ご主人に距離を置かれた。


 何も感じていない私がいることに気づいた。


 時々自分の記憶が曖昧(あいまい)になって、記憶がなくなって、知らない場所に立っていたり知らないうちの出来事があったりした。


 突然胸が苦しくなったり、殺人衝動にかられた時もあった。

 

 人間は頭の良さと道徳性は比例しないことに気づいた。

 つまらない……つまらない……

 殺したい……殺したい……


 頭が良くてもコンナのいらない。必要ない。悪い奴らは人間じゃない。人間の形をしたニンゲンモドキ。

 だから殺す。いっぱいこの世から消し去るの。


 

 だから狭い祖国を捨てて、戦争を体験できる国へ。

 テロリストとして、頭は悪くても実験体ならできる。

 科学者としてはお使い位しかできないけど、殺せるものならいくらでも殺せる。


 国も宗教も考え方も性別もエロもグロも違う世界。何も感じられなくなった私みたいなのでも使ってくれるんだもの。優しいでしょ?


 『違う』私を使ってくれる。だけど、そいつらも含めて『ぶっ殺す』……すべての人間を滅ぼそうとしたんだ~

 だってそのほうが楽しいもん。


 そしたら異世界流しに遭ったの。




「これが私の過去……私が異世界流しに遭った理由よ」


 エリンは、彼女の過去を聞いて何を思うのか。

 結局、霙は何にも満足してないのかもしれない。明確な敵はいなかった、いたのは『殺してもいい相手』で結局、霙には敵もやりたいことも分かってなかったのかもしれない。

人の考え方はそれぞれなのに、全部を考えて全部の『人間』を一人でこなそうとしてしまった。それが神無月 霙の一番の失敗。誰かに相談していれば彼女の未来も変わっていたかもしれませんね。


ブクマ登録や感想を送ってくれた方、ありがとうございます。感想や誤字脱字のお知らせなどは常時募集なので、よろしければブクマ登録などもよろしくお願いします。これからも霙ちゃんをよろしくお願いします。(霙ちゃんの愛は重い)

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