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出会い

推理物(予定)です

「お、俺たちが悪かった。勘弁してくれ……」

 俺が胸倉を掴んでいる男がうめき声のように掠れた声を絞り出した。その顔は大きく腫れあがり、口元からは血の跡が残っている。

 辺りを見渡してみると似たような奴ら地面を転がっていた。腹や顔などを抑えて蹲り、中には口を大きく開いて気絶している者までいる。

「勘弁してくれは俺のセリフだろうが……。先に絡んできたのはそっちだ」

 男の胸倉を放して軽く押すとそれだけで男は地面に崩れ落ちた。そのまま頬を抑えて体を震わせ始めた。

 酷く面倒くさい。それに尽きた。

 俺は頭をかきつつ男たちに告げる。

「ああもうお前ら。今回の事は忘れてやる。だから早く行け。ちゃんと友達病院連れて行けよ」

 言うと男たちは気絶した奴を抱えて足早にその場を離れていく。さすがに仲間意識はあるらしい。

「面倒だなあ」

 今の男たちは何だかよくわからんがいちゃもんを付けてきた奴らだった。昔からそうだ。目つきが悪いだとかそんな理由でしょっちゅう絡まれる。目つきの悪さは生まれつきだからどうしようもないだろうに。これ虐めじゃねえの?おかげで無駄に喧嘩の経験が増えるわ不良呼ばわりされるわで散々だ。

 まあでも先ほどの奴らは金を要求しようとする素振り見せなかったからまだまともなのかも知れない。喧嘩ならともかくとして金を要求するのはもう犯罪です。……喧嘩も犯罪なんだっけ?

「……はあ。煙草吸お」

 懐から煙草を取り出し百円ライターで火を点ける。

 全くもって面倒くさい。何もかもが面倒だ。ただ道を歩いていたら絡まれる。煙草を吸っていたら絡まれる。目があったら絡まれる。いやこれだけならまだ良かったかもしれないな。なんせそういう輩以外の奴と目が合っても全力で目を、いや顔ごと逸らされるんだから。結論を言ってしまえば今までの人生で友人と言う物ができた試しがない。つまりぼっちだ。

 そこまで俺は目つきが悪いんだろうか?いや鏡では見たことあるがそもそも自分の顔を見て「あ、俺目つき悪いわ」と思う奴なんているのか?そこまで自分の顔をまじまじと見たことがないからわからん。でも目つきが悪いってだけで避けられるなんて世の中理不尽だ。

「未成年の喫煙は推奨できないな~少年」

 とそんな事を考えていると横合いから急に声が聞こえてきた。

 あ、これ面倒くさいやつだわ。とりあえず無視。

「ま、止めはしないがね」

 言いながら声の主は視界に入るように俺の前まで歩いて、腰に両手を当てて止まった。

「……面倒だ」

 女だった。俺と同年代くらいだろうか?若い。いや幼いと言った感じか。ていうかガキだ。日本人離れした金髪に日本人らしい顔立ち。女子らしい小柄で低い体。その体はセーラー服を纏っていた。その顔は何だろう?すごくドヤ顔だった。

「誰だお前」

 半端じゃなく面倒だがなんだか聞いて欲しげだったのでとりあえずそう聞いてみた。何なのその「ほら名前を聞け」と言わんばかりの顔。腹立つわ~。てかホント誰?

「私か?」

 言うと女は誇らしげにない胸を張ろうと背中を逸らした。

「私はただの通りすがりで、明らかに誰かにやられて怪我をしたであろう集団がこっちから走って来たのでな。何かの事件かと思って駆け付けたまでだ。そこから煙草の臭いと一緒に君がいたというわけだ。簡単だろう?」

 ……

 そういう事が言いたいんじゃんじゃねえよ。誰だって聞いてんのに状況説明する奴なんて聞いたことねえわ。それともそれが世間一般なんですか?友達いない俺が知らないだけですか?何それ泣きたい。

「そういうのどうでもいいから。名前聞いてんの」

 少しイライラを含ませてそう言うと女は鼻息を荒くして右手を胸に当てった。そしてようやく。

一ノ瀬、明(いちのせあきら)だ。君を未成年喫煙並びに傷害の疑いで恐喝する。君には私の助手を務めてもらおう」

 ……

「は……?」


 これが俺と、一ノ瀬明(いちのせあきら)との出会いだった。

 今思い出しても理解が出来ねえよ。

お疲れさまでした。

本作は少し更新遅いかもですがよろしくお願いします。


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