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好きな人にご飯一緒に食べようって言うの勇気いるよね

 授業終了のチャイムが鳴り響く。授業終了の号令が終わり、僕は走って、神崎さんのところへ向かった。先にどこかへ動かれたら困る。


 幸いにも、授業中に騒いだおとがめはなかった。立たされたことで罰が終わったということだろう。先生感謝。


 そして、僕は神崎さんの席へ急行すると、


「神崎さん。お昼ごはんどうするの?」


 僕は思い切って声をかけた。


 神埼さんは少しびっくりしたようだけど、一呼吸置いて。


「私は、お弁当を食べようと思ってます」


 それを聞いて、僕は間髪いれずに次の言葉を発した。


「ここで?」


「えぇ、教室で。他に行くところもないですし」


「じゃ、じゃあ、僕も弁当なんだけど、一緒に食べていいかな?」


「えぇ、いいですよ」


 えぇ、いいですよ。その言葉が僕の心のなかで何度も何度もエコーかかって再生された。


 神埼さんと一緒に弁当が食べれる。これはかなりの大チャンスだ。神様ありがとうございます。普段は存在自体あまり肯定してない僕だけど、今日ばかりは信じます。ビバ神様。


「つかさも一緒に食べていいですかー?」


「もちろん良いですよ」


 僕が神様に感謝している間に、神埼さんはつかさちゃんにもオーケーしていた。


 一体どうしてそうなったのかわからないけれど。神様、感謝した途端にこれなのですね。やっぱ神様は信じないことにします。


 今の僕にとって、一番最悪の曲者と言っても過言じゃないつかさちゃんと一緒に神崎さんと弁当を食べるだなんてことになると、全然どうなるかわからない。その三人で食べた場合。最悪、神崎さんが「あ、よく考えたら私、二人の邪魔になっちゃいますね。私はよそで食べるので二人で仲良く食べてください」なんてことを言いだす可能性だってあり得る。神崎さんは優しいだけじゃなく、天然ぽいところがあるって如月さん情報で仕入れてるし。これは僕も誰か呼んで、計画通り二対二の状況を作る必要がある。


 でも、誠はさっき断ってきたし。どうするか。


「授業終わり急に走っていきやがって、今から購買行くけど、春樹何か要るか?」


 誠が話しかけてきた。


 これは一体どういうことなんだ。いや、そんなことは今はどうでもいい。


「誠、ちょっと」


 神崎さんに聞こえないように、背中を向け、小声でしゃべる。


「協力してくれるのか?」


「あぁ、だが、条件がある」


 なるほど、条件付きか。誠の奴考えたな。


「今日の昼飯代奢れ」


「ぐっ、僕の財布がさびしいことを知っている癖にその要求とは……。でもしかたない、その条件飲もうじゃないか」


「よし、交渉成立だな」


 僕は神埼さんやつかさちゃんに見えないようにポケットから財布を取り出し、誠に千円札を渡す。


「釣りは返せよ」


「へいへい」


 僕と誠は相談を終えると、お互い離れた。


「誠、僕はオレンジジュースで頼むよ」


「おう、わかった。神埼さんとつかさちゃんは何かいるものあるか。どうせ買う気なら俺が買ってきた方が早い」


「でも、それは申し訳ない気がします。自分で買ってきますよ」


「つかさりんごじゅーすが良いです」


「はいはい、りんごジュースだな、いや、遠慮はするな。実際一人でいっぺんに買ったほうが購買部がそれだけ混まなくていいからな」


「そ、そうですか……。なら遠慮なく。私は緑茶をお願いしますね」


 そういって財布を手に取る神崎さん。


 お金を出そうとしたところで、


「あっ、金はいい。今もらってる時間も惜しい。それに今日は春樹の奢りだからな。おっとこうしている間に購買が混んでしまう。じゃいってくる」


 誠は言い終わると同時に走って教室を出て行った。


 隣の席の人が「食堂行くから机使っていいよ」、と言ってくれたので僕は机を移動させる。


 つかさちゃんの机も合わせて。三つ。あと一つ足りなかったけど、それは僕の机をもってくることで解決した。


 四つ席を確保したところで、それぞれ椅子に座った。


 僕の横は誠の席、僕の向かいにつかさちゃん。つかさちゃんの横に神崎さんって形になった。


 僕これ、机の組み合わせ間違えた。なんで僕の机をつかさちゃんの対面にしてるのだろうか。


 神埼さんの前にしたら、自然と対面どうしになれて、会話も自然にできるっていうのに。


 僕はため息交じりに椅子に座って、弁当を机の上に用意した。



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