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だいぶ前に書いたのがバレちゃう!

 つかさちゃんが聞いてくる。確かにその疑問はあるかもしれない。けれど。


「どんな学校にもやっぱ不良って要るんだよ。他のとこと比べたら頭がいい分たちが悪いかもしれないね。まぁ、僕は関わったこと無いからどんな人達かわからないんだけど」


「じゃあ推測ですー?」


「まぁ、推測になるね。偏見でものを言うのは良くないかもしれないけど、実際近づきたくないし」


「どちらにせよ、柵に近づかなければこっちからも見えないし向こうからも見えないから普通に過ごしてたら大丈夫だがな」


 誠の言うとおり、フェンスにさえ近づかず、こちらからも見なければ何も問題はない。実際目があったとしても、不良たちも好き好んで絡んできたりはしないだろうけど。


「とりあえず、そういうわけだからあまり体育館裏は覗かない方がいいよ」


「そうですね、分かりました。偏見はよくないですが、未然に揉め事を回避するのは必要だと私も思います」


「そういうものですかー」


「そうだよ、つかさちゃん。だからフェンス際には近づかないようにね」


「了解です」


 物分かりが良くて助かる。別に不良たちだけじゃない。先生たちにも屋上へ好き勝手に出入りしていることがバレたら面倒なことになるだろうし。やっぱりフェンス際に近づかないに越したことはない。


「そういえば話は変わるんだけど。神埼さんは部活とかしてる?」


「いえ、何もやってないですよ。帰宅部です」


「あっ、そうなんだじゃあ僕らと一緒だね」


 僕、誠、如月さんは部活に所属していない。だからこそ自由な時間が多い僕らなのである。


「つかさちゃんはなにか部活に入る予定とかあるの?」


 神埼さんがつかさちゃんに振る。


「んーと、まだ全然考えてないですー」


「あらそうなんですか」


 つかさちゃんが部活。ちょっと考えてみたけれど、運動部は六歳児がついていけるわけないから、入るとしたら文化部になるのだろうか。


 頭もいいし、科学部だとか文芸部、天文部なんてのが合っているんじゃないか、と僕は思った。実際にこの学校にそれらの文化部があるかどうかは詳しくは知らないけれど。


「部活って一体何をするのか、やったことないからよくわからないですー。ちょっと前までは幼稚園だったですから」


「あぁ、そっか。部活っていうイメージが湧かないのか」


「そうですー。でも見学とかもするのも一人だとちょっとこわいです」


「あーそうか、この学校はおおっぴらに部活勧誘したりしないから触れ合うチャンスも少ないからね。入学後の部活紹介とかもないし。部活のパンフレットは配られるけど、それだけだからねー敷居が高いのは確かかもしれない」


「今度みんなで一緒に見学しに行きましょうか」


「わーい、それがいいですー」


 そういうわけでみんなで部活めぐりすることが決まった。


 かと言っても、すぐじゃない。あと四日後が締め切りのマリッジパートナーシップが終わってからだ。今日が金曜日なので来週の火曜日が締め切り。そして水曜日にパートナーを見つけられなかった人のランダム抽選がある。


 この学校は進学校なので、普通に土曜日も授業がある。休みは日曜日だけ、なんとかそれまでに神埼さんに告白しなければならない。


 なにか良い案はないだろうか。


 弁当を一緒に食べだしてから、日常生活も何気ない世間話が抵抗なくできるようになったし、仲良くはなってきた。だけど、問題はそこからだ。


 やっぱり思い切って日曜日どこかに誘うって案が一番いい。問題はどうやって誘うか。


 最近二人になるというチャンスが全くない。二人きりになろうとしたら必ずしもつかさちゃんがひょっこり現れるし、それに誠も如月さんもいる。


 これはどうしたらいいのか。いっその事手紙で日曜日暇かどうか誘うってのは……。


 いや、待てよ。


「そうだ、神埼さん。携帯持ってる?」


「えぇ、持ってますよ。こないだ新しく変えたんです」


 そう言って神埼さんが出したのは今話題のスレンダーフォン。薄くてスレンダーっぽいのが特徴だ。タッチパネル式でボタン操作じゃない新しい機種。


「あ、新しいやつだね。よかったら僕のとアドレス交換しない? 僕の持ってるやつは古いやつだけど」


 僕が取り出した携帯は、折りたたみ式のよくある、旧式のやつ。なんだか最近は時代遅れが使ってると巷では有名らしい、インディアン携帯だとかなんとか言われてる。


「いいですよ。赤外線で送りますね」


 新しい機種は、なんだかぶつけただけでアドレス交換ができるらしいけれど、僕のは古いから赤外線が限度。神埼さんもそれがわかってるようで、赤外線でアドレスを送ってくれた。


 早速僕は神埼さんをアドレス帳に登録。神埼さんのアドレスと電話番号をゲット。


 これで神埼さんを誘える。これは大きな一歩だ。


「つかさも交換したいですー」


 僕が歓喜していると、つかさちゃんが言った。


「えっ、つかさちゃん携帯持ってるの?」


 正直僕は驚いた。つかさちゃんは高校生といっても、まだ六歳児。携帯なんて持ってないと思っていた。


「持ってるですよー。ママが防犯のために持ってなさいって言って買ってくれたです」


 今日はツインテールにしている髪をぴょこぴょこと動かしながらつかさちゃんが言う。


 なるほど、防犯対策として持たせているのか。そういうの最近多いみたいだし、それなら持っていてもおかしくはない。


「つかさもお姉ちゃんと同じスレンダーフォンですー」


 つかさちゃんが取り出した携帯は最新機種だった。


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