悪屠の始まり
少年の運命は最初から決められていた。
とある世界に二つの種族がいました。
一つは聖力が生きる源の聖人。
一つは魔力が生きる源の魔人。
聖人は怪我や病気を治す癒しの力《聖法》を持ち、魔人は火や風などを操る壊す力《魔法》を持っていました。
聖人は禍々しく攻撃的で巨大な魔法を持つ恐ろしい魔人を、退治しようとしました。
強力な魔法を持つ魔人に苦戦しますが、勇敢で賢い聖人たちは次第に魔人を追い詰めていきます。
しかし、魔人は聖人に対抗するため、数年の年月をかけ、魔塊と呼ばれる魔力の塊のような強い力を持つ魔人と同じ姿をした存在を作り出しました。
世界が絶望に包まれた時、聖人は救世主《聖塊》を生み出しました。
聖塊は人の形をしていましたが、聖力の塊で生まれながら、とても強い力を持っていました。
聖塊は聖人を救うため、魔塊と戦いました。
魔力の弱点が聖力のように、聖力の弱点も魔力のために聖塊と魔塊はお互いに傷つきあい、最後は一緒に死んでしました。
聖塊と魔塊が死んだ後、聖人は魔人を退治しました。
攻撃的な魔法を持つ魔人でも傷ついていては、敵いません。
魔人は次々に減り、ついには世界の人々のほとんどが聖人になってしまいました。
生き残った魔人は聖人の目の届かない樹海や洞窟、雪山などにひっそりと隠れ暮らすようになりました。
こうして世界は平和になりました。
〜世界的児童書「世界の始まり」より抜粋〜
ここは聖法と魔法で構成された世界。
願えば何でも叶い、希望に満ち溢れている。
だが、そんな世界に異変が起きた。
それは世界を支える三王の一人、浄化の王が何者かに誘拐された。
浄化の王が保っていた聖法の源、聖力が濁り、それまでいなかった魔物が現れ、各地で村が襲われた。
さらには津波や竜巻、地震、雷などの天災が起こり、疫病が流行り、飢餓が広まり、世界は破滅へと向かっていた。
世界を救うため、一人の少年が選ばれた。
少年の名は『アクト・ティフォーヌ』
その名は後に百年にも渡り、人々に語り継がれることになるのだが、同時の彼は知る由もなかった。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
見切り発車の投稿です。
今まで以上に不定期投稿になると思いますが、ご了承ください。