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◇和葉の日常その一

二話連続投稿の一話目です。

軽くいじめのことを書いてます。

 私はきっといじめられてるんだろうな、と思っている。

 下駄箱の中はいつも得体のしれないゴミや絵の具で汚されているし、教室の机のにはお決まりのようにブスとかなんとかいろいろ書いてある。あとは体育の時間に着替えを隠されたり(いつもトイレに水没しているので、最近は色々理由をつけて保健室で着替えをし、服を預かってもらっている。)廊下で足を引っ掛けられたりとなかなかベタないじめを受けている。理由は人によって違うとは思うが、八割以上は女子からの妬み嫉み。裕介と兄妹であるのをいいことにベタベタしすぎだとか、恋路をわざと妨害する悪女、人の彼氏を寝取った(ただ告白をされただけ)エトセトラ。怒った裕介が止めてくれようとしたけど、そうしたらまた裕介を利用しただなんだと騒がれるので、高校に入れば今の半分以上とは別れることになるからと、我慢してもらっている。

 「ただ疲れるんだよねー、毎日毎日飽きもせずみんなよくやれるよ」

 「それなら目の前の担任に協力を仰いだらどうかな、倉田君?」

 響くような低音ボイスで話しかけてきたのは、和葉の担任で古文担当の友永だった。彼は友人がいないうえに、女子生徒からのいじめを受けている和葉を心配してくれているのだが、五十台に差し掛かる彼はそこはかとない色気を醸し出すオジサマなのだ。正直、この学校で一番若くてイケメンの先生より人気があるため、彼に協力してもらったとしても今度は彼のファンからの攻撃を受けかねない。

 「だからー、ともやんだと余計悪化するって言ってんじゃん」

 「否定はしないけどね、私割とモテるから」

 「ちょっとは謙遜しようよ」

 「ははは」

 正直和葉も何度かグラッときたことがあるほど、友永は魅力的な人間である。ただ今は彼の恋人になりたいとかではなく、もう一人の父親のように和葉は慕っている。

 「まあ、どうしても駄目だと思ったら私に言ってくれよ」

 「…うん」

 いつもこうして愚痴に付き合ってもらうことで、和葉はまた明日からのいじめにも耐えていけるのだと思う。切れ長の瞳を細めて微笑む友永に、感謝を込めて微笑み返した。



 その頃の倉田家


 賢「和葉、今日は帰り遅いな」


 裕「ああ、友永センセーのとこじゃない?」


 彰「おお、あのオジサマ先生のとこかあ」


 雅「晩飯の当番じゃない時はいつもだよね」


 賢「え、何それ、裕介だけじゃなくて彰君に雅也まで知ってんの?」


 裕「和葉の相談相手みたいになってくれてるんだよね」


 彰「いい人だぞ、こないだルアーくれたし」


 雅「俺もこないだ一緒にバスケの話した」


 賢「知らないの俺だけ!?」

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