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イケない恋路  作者: どら海斗
~第一章~
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イケない恋路

漆黒の闇に、釣り合わないカラフルなネオン。


長細いその建物を見上げていたら、ポツポツと小さな雨粒が一つ二つと落ちてきた。

僕は建物に背を向けて家路を急ぐように歩き出した。



心の奥にある罪悪感。

何度目だろう。


なのに、同じ過ちをしてしまう自分へ苛立つ。

だがそんな思いとは裏腹に、達成感ともやりきった感とも言えない清々しさが体中を包み込む。




僕はもう一度、来た道の方を振り返った。


闇夜に照らされたネオン看板。ラブホテル。


僕は今まさに、あの場所から出てきた。


明かりにはピンクと黄色、水色も入っているだろうか。

その建物はもう遠くにあってぼんやりとしか見えないが、こんな遠くからでもその存在感を発している。


もちろん一人で入っていたわけではない。ちゃんと相手がいる。

思い出すと、つい二・三時間前まで感じていたあの体全体の高揚感が再び襲う。


もう一度引き返そうか。【彼女】はまだ中にいるだろうから。


そんな欲望を自分の胸にしまいこみ、僕はまた暗闇に紛れた道を進みだした。


その時ポケットの中で携帯が激しく震えだした。

携帯を取り出し電話のボタンを押す。彼女だった。

「準備が出来たから来てもいいよ」

それだけ伝えたかったのか、もしもしも言わずにそう切り出した彼女は、こっちの返事も待たずに一方的に電話を切った。


ふっと空を見上げる。今日は満月らしい。周りの雲だけでなく歩く足元も照らしている。闇夜にはありがたいはずなのに、その姿は少し不気味だ。

雨はいつの間にか止んでいた。僕はそれでも、小走りで自分の車の元へ走った。


「今日もありがとう。」


いつもの帰りの車内で彼女はほぼ必ずこう切り出す。僕はそれに、無言で頷いたりいえいえと謙遜してみたりする。


「いえいえこちらこそ」


そう言うと彼女は満足気な顔で再び前を向く。


彼女は俗に言う童顔の部類に入ると思う。

黒髪で肩辺りまで伸びたショートヘアー。目は真ん丸くりくりしている。背丈は僕より小さい、155といったところか。

年齢は40歳。なのに歳を感じさせない若々しさがある。


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