(凛の魔法+虛の魔法)×条件=不完全燃焼
普通恋人ととの痴話喧嘩と聞いたらどんなこと連想するだろう
元カノ(又は元カレ)のこと
相手のファッションの欠点
デートの遅刻理由
趣味の相違
他にも些細な様々な理由で痴話喧嘩が起こるだろう
そんなことを考えてる影無虛は現実逃避を止め今の状況を把握する
そして目の前には・・・
「【代償:感覚麻痺】により【魔神の加護】を発現!生成して【神力:広域干渉】に変換!」
天照凛は構える
「(【属性魔力:火】+【性質魔力:硬化】)×【神力:広域干渉】=【断罪式業火ノ太刀】発動!!」
【魔法公式】を唱えた凛の右手に炎が集まり形になる
その形は大剣だった
しかし模様がない
が、唯一の特徴である恐怖を覚えるほど真紅に染まった刃のせいで威圧感は欠けなかった
そしてその姿は、侍と比喩するにはあまりにも荒々しく騎士と比喩するにもあまりにも豪快すぎた
「・・・・・なぁ凛。」
「今更謝ってもおせーぞ。」
「・・・・・いや・・・なんていうか・・・」
「何だよ?」
「・・・・・いや・・・なんでもない。」
この雰囲気では間違えてもこれ痴話喧嘩ってレベルじゃないよなぁとは言えなかった
「そうか・・・」
「うん・・・」
二人の口数が減ること
それは始まりが近いことを表していた
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
二人の会話が無くなり大剣のジリジリと焼ける音のみ残る
先に動いたのは虛だった
動いたと言っても一歩左足を出しただけ
次に動いたのは凛だった
「うらぁぁぁぁ!!」
大剣を右から左に振り抜く
これが普通の大剣だったらただ空気を切り裂く音しかなかったろう
しかし【断罪式業火ノ太刀】は【魔法】で構築した大剣であり特別な効力があるのは当たり前だ
ただしそのことが分かっていたとしてもたかがひと振りで屋上を半壊させることを予想出来るだろうか
そして凛は轟音と共にそれをやってのけた
「うらぁ!!」
しかしそれでは終わらなかった
凛は振り抜いく勢いを利用してそのまま半回転して後ろに移動していた虛に斬りかかったのだ
「うをぉ!?」
それをバックステップでギリギリ虛は回避する
そしてそのまま間合いを取る
「おぉ!!良く分かったねぇ、俺が後ろに居るって。」
「当たり前だろ、わざわざ逃げるルート用意して攻撃したんだから。」
「うん、まぁそうだけどさぁ。俺が言いたいのはすぐ後ろに俺がいた事が分かったってとこなんだよねぇ。【魔神の加護】の【代償】で感覚がほぼ麻痺してるはずでしょ。おかけで条件が揃わなかったから危うく死にかけたよ。」
「あぁ、それは偶然。あそこにいてくれたらいい感じに真っ二つに出来るから何となく。」
「・・・・・やっぱ謝ったら許してくんない。」
「無理!!」
今度は大剣により直接斬りかかる
「ちょっ!!あれ!?ズルくない!?そんな方法で条件を潰すなんて!!」
「ズルくない!!」
そう言って追撃の手を激しくする
「ちょっとタンマ!!」
「ヤダ!!」
「いや、マジで!!」
「断る!!」
「俺【魔法】以外の回避は慣れてないんだよ!!」
虛は本気で焦っているように見えた
なぜなら、虛の【魔法】の条件は今の凛に当てはまっていないからだ
しかし・・・
「嘘付け!!軽やかにかわしてるくせに!!」
確かに先程から凛の大剣はかすりともしない
それは凛の太刀筋が遅いわけでも鈍いわけでもない
つまりそれは・・・
「あっバレたぁ(笑)」
そういうことだった
「こっコノヤロォォォォォォォォォォォォォォ!!」
そしてその反応は文字どうり火に油を注いでいるのと同じだった
「おんどりゃぁあああぁああぁぁぁああああ!!」
そして油を注ぎ燃え上がった炎の矛先は当たり前だが虛に向かう
そして矛先を向けられた虛は・・・
「はい、アウト。」
軽く笑っていた
「ッッ!!しまった!!」
凛はその笑みを瞬時に理解した
しかし、既に手遅れで凛の大剣は虛のいた場所を空振りする
凛は手応えが無い大剣にバランスを取られ少し体制を崩す
「クソッ!やられた!!」
凛は周りを見渡す
しかしどこにも虛の姿は無かった
「うぅ~~~~~~~~~~~~~~あぁぁぁぁああああああああぁぁああぁぁぁ。」
凛は大声と共に青色の天井に届くかもしれないほどの火柱を建てる
「虛ーーーーー次はあったら覚悟しろーーーーーーーーー!!」
凛は叫ぶ
気持ちを全部乗せて
こうして初めての痴話喧嘩で不完全燃焼で終わった