(理由+説明)×屋上=拒絶
「・・・・・ここは何処?」
凛は質問する
しかし戸惑ってはいない
なぜならいきなり別の場所に移動させられたのは質問を投げかけた相手のせいだと分かっていたからだ
「近くのビルの屋上だよ。」
質問を投げかけられた相手こと虛は答える
「そんなことより何考えてんの?戦意喪失した奴に切りかかろうなんて、呆れることしか出来ないよ。」
「そんなことよりはこっちの台詞よ!!」
「何で?」
「どうしてあんな無茶なことしたの!!」
「何が?」
「魔力を通してはいなかったものの、下手したらその手が斬れてたかもしれないのに!!」
「・・・・・あぁ。」
「今きずいてどうすんのよ!!」
虛はさっき刀を止めた右手を見る
その手は斬れてはいないものの血はまだ凝固してなくダラダラと流れていた
「そういえば何か痛いなぁと思ってはいたけど・・・・・忘れてた。」
「忘れるものじゃないでしょう!?」
「まぁ、いいじゃんどーでもいーし。」
「どうでもよくない!!」
「でも、まぁ確かに少し無茶だったよね。」
「少しじゃなくてかなりね!!つーかさっさと止血しろ!!」
少し二人のことについて説明しよう
まずは男の方から
本名:「影無虛」
年齢:「16才」
職業:「学生」
容姿:目の下にいつも隈があり髪は適当に伸ばしていて全体的にだらしない。しかし、とある理由により学校のときだけ一応身成はきちんとして髪も整えている
性格:鈍いというよりもきずいてもすぐ忘れて基本的に何事に対しても無関心。ただし自身の【魔法】の副作用により【魔力】に対しては鋭い。
備考:とある理由により学校では凛にイジメられている弱虫キャラを演じている・・・いや、演じるように命令されている
階級:魔法使(ただし特例)
「止血?何で?」
「だから、手から血が出てるからだ!!」
「・・・・・あぁ。そうだったね。」
「テメェーわざとやってんだろ!!」
次は、虛と言い争っていてとある理由の張本人の彼女について説明しよう
本名:「天照凛」
年齢:「16才」
職業:「生徒会長兼【楽園の鎖】」
容姿:茶髪を後ろで適当にまとめていて、名前のとおり全体的に凛々しいという言葉がピッタリである
性格:「傍若無人」「問答無用」「唯我独尊」ただしプライベートではかなり違う・・・まぁそこらへんは後ほど説明する
備考:とある理由により学校では虛をイジメているふりをしている
階級:魔導神官
「まったく、少しは自分の体の心配ぐらいしろよ!」
「うん、そうだね。」
「・・・・・ホントに分かってんのかよ。」
「うん、大丈夫だよ。・・・・・それで、何の話だっけ?」
「あぁーーーーーーーーーーもぅ!!全然分かってねーーじゃんか!!」
凛は頭をかきむしる
「いや、止血のことじゃなくてさぁ。」
「うっ。」
凛の動きが止まる
「あぁ、そうだ。何であんなことしたの?」
虛は思い出したように凛の瞳の奥底を見て質問する
そしてその質問で攻守が逆転する
「・・・・・なっ何の事やら。」
「あの男の人を襲ったことについてだよ。」
「・・・・・・・・・・」
凛はバツの悪そうに右に目線をそらす
しかしそんなことは虛には意味の無いことだ
「何であんなことしたの?」
目を反らした先に当たり前のように虛がいた
「・・・・・・・・・・」
凛は反対の方向に目を反らす
しかしまたしても反らした先に虛がいる
「ねぇ、何で?」
しかも、徐々にだが距離を詰められている
「・・・・・・・・・・」
凛は体ごと後ろに振り向く
しかし・・・
「ねぇ、何で?聞こえないの?」
今度は目の前に虛がいた
「・・・・・別にきちんとした理由なんてねぇよ!ただ単にむしゃくしゃしてたからストレス発散だ!」
凛はなにかしらの解答をしなけければ虛からは逃げられないと思い適当な理由を述べる
「生徒会長さんであり【楽園の鎖】の凛が学校さぼってまで?」
「その・・・それは・・・・・・・・・・」
虛の的確な質問に凛は言葉につまり黙ってしまう
「そういえばさぁ。」
「なっ何?」
「あの男の人見たことがあるような感じがするんだけどさぁ。」
「きっ気のせいだと思うよ。」
凛の額から一筋の汗が流れる
「あぁそうだ。昨日路地裏でボコボコにした奴らだ。」
「嘘つけ、ボコボコにされたくせにあっ!!」
凛は慌てて口を塞ぐ
しかし、時すでに遅し
「うん嘘だよ。でも、どうしてそんなこと分かるのかなぁ?」
虛は淡々と質問しているはずなのに奇妙な威圧感を放っていた
「もしかしなくても昨日尾行してたとか?」
「・・・・・・・・・・」
もはや凛は黙ることしか出来ない
「つまり、昨日俺を尾行をしていたくせにボコボコにされているのを見過ごしてたんだぁ。」
「ちっ違う!!昨日は途中で見失ってそんで見つけたときには傷が治る寸前だったから!その、声かけずらくて。」
凛の声が少しずつ小さくなっていく
「尾行していたことは認めるんだ。」
「えっと・・・あの・・・・・その。」
「認めるんだね。」
「・・・・・はい。」
そこには名前どうりの凛々しい姿は無かった
「それで、俺の敵討ちみたいなマネしたんだ。」
「・・・・・はい。」
「あの男の他にも何人か仲間がいたよね。そいつらは?」
「・・・・・昨日虛から離れた後ボコボコにしました。」
「ふーん、それで俺のこと見失ったんだ。」
「・・・・・はい。」
「何で、俺のことなんて尾行したの?」
「・・・・・・・・・・」
「怒らないから言ってごらん。」
「・・・・・本当に?」
「・・・・・本当に。」
元より虛には怒りは無い
ただ単になぜこんなことをしたのか聞きたいだけなのだ
「・・・・・場所。」
「・・・・・場所?」
「・・・・・学生寮の場所。」
「・・・・・・・・・・あぁ、俺の学生寮の場所知りたかったんだ。」
「・・・・・うん。」
「・・・・・それだけ?」
二人の間に少しの沈黙が流れる
最初に口を開いたのは凛だった
もし、この場所に二人のことを知る第三者がいたならとてつもなく驚くであろう爆弾発言を聞くことになる
「だって・・・恋人の家ぐらい知りたいし。」
そう、虛と凛は恋人関係にある
それゆえに虛を傷つけた男たちを許せなかったのである
そしてその爆弾発言による虛の反応はというと
「えっやだよ。教えたくない。」
真っ向からの完全拒絶である
「・・・・・・・・・・はっ?」
凛は間抜けた声で反応する
「あっ、いけないそろそろ昼休みだ。購買に行かないと。」
虛は凛などお構いなしに時間を確認する
「えっ?ちょっと虛?」
凛は虛の肩に手を置こうとして
「じゃ、また後で。」
その手が空振る
「まっ待って!せめて理由を!」
しかしそんなことを言ってももう手遅れだった
またしても虛はそこには居なかった
「・・・・・・・・・・ふっ。」
凛の体から火がちらちらと出ていた
余談だがこの日の確定予想値は90.21%で平均より下回っていた
主な原因としては風の確定予想の間違いと
とあるビルの屋上が焼け焦げたという事件の確定予測が出来ていなかったことである
後者の原因はまったくもって不明である