4
それから教会から転移魔法でイモルの家だといういかにも女の子らしい部屋に着いた俺は、いくら相手がカエルイモムシだとしても若干緊張してしまった。イモルは多分見た目ではほんとによく分からないが、女の子だし…………
「って、ここに俺も住むのか!?」
「お兄ちゃん、家族なんだから当たり前でしょ?」
「いや、俺十九歳でイモルは……高校だから……十六とかだろ?なんか色々問題が……」
「ありませんよっ!」
「あるよ!?」
「秘密なんだから大丈夫ですう」
「大丈夫じゃないですう!!?てかイモル何歳なんだよ」
「十五です」
「だめだよー?」
「えーと、そっちの世界では何歳が成体なんでしょうか?」
「俺の国では十八が成人だけど……」
「……そうなんですね!」
「おいなんだ今の間は何歳なんだ」
「……十六からですけど、まあ誤差ですよ!誤差!」
「いや、ダメだろ!そこんとこちゃんとしないと俺の倫理観的に受け入れられないぞ!」
「あっ、プリンもう一個上げますよ」
「そんなことで、騙されないからな!…………貰うけど!」
「貰うんですね」
……プリンに罪はないからな!
「うふふふ」
「なんだ?ていうか、敬語戻ってるけどほんと気にしなくていいからな」
「ああ、これは癖みたいなもので……気をつけないとねっ!」
「……うん、その方がなんか似合ってるし」
「似合ってる?」
「イモルって声が明るくてすごく可愛いから」
「………………」
「……なに?」
「いいえ〜?えへへっ」
……事実を述べただけだが、なんか嬉しそうなのでよかったかな。
「……もしも一緒に住まざるを得ないのであれば、俺は誓うぞ。絶対に、絶対にイモルに危害を加えないから!なにもやましい事もしない!」
「お兄ちゃん、そんな気にしないでいいよ〜私たちに性差も腕力の差も皆無だし、お兄ちゃんがそんな事するヒトだとは思ってないよ!」
「それでも十九年生きてきた倫理観がそう叫んでいるんだ!」
「お兄ちゃんっておもしろ〜い!」
「…………もうそれでいいけど、俺は言ったからな!」
――この時本当に、そう言ったのだ。
「そうだ、プリンたべよ?」
「おう」
「はやくたべてね?」
「…………ん?う、うん」
なんで急かすんだろう?ぬるくなるから?と思いながら蓋をぺりりと剥がし、ご対面する。
「わあ美味しそう」
「とびっきりのを用意したんです!」
「いやーほんと、これに比べたらスーパーのやつで未練!とか言ってた俺が馬鹿らしいよあっはっはっは!」
「うふふ!!」
さっきからイモルがじっと見つめてくる。味の感想が早く気になるんだろう。あんまり見られながらだと食べにくい気もするが、まあ気持ちはわからなくもないな。せっかく用意してくれたんだし!
「いただきます!」
――そして、俺は一口目を食べてすぐ、倒れ込んだ。毒だ。どうして、なんで、と言う俺の呟きは、イモルの耳に入ったのだろうか。




