第8話:高野の平凡な1日
朝7時。目覚ましが鳴る前に目を覚ます。
異世界での5年間の戦いが、体内時計を正確にしてしまったようだ。
シャワーを浴び、スーツに袖を通す。鏡に映る自分は、
異世界で鍛え上げた体を持つが、表情はどこか疲れている。
朝食をとらずに家を出る。駅に向かう途中、コンビニで缶コーヒーを購入。
これが唯一の朝の楽しみだ。
駅に着くと、すでにホームは人で溢れている。
満員電車に乗り込むと、体が押しつぶされそうになる。
異世界での戦いよりも、この通勤ラッシュの方が過酷に感じる。
会社に到着すると、上司からの指示が飛んでくる。
「高野くん、例の資料、できてるよね?」
「はい、すぐにお持ちします」
デスクに向かい、PCを立ち上げる。
異世界で得たスキル《時制操作》を使えば、作業はすぐに終わる。
しかし、現代社会ではその力を使うことはできない。
昼休み、同僚とランチに出かける。
「高野さん、最近元気ないですね」
「まあ、いろいろとね」
午後の会議では、プレゼンを任される。
緊張しながらも、なんとか乗り切る。
異世界での戦いに比べれば、これくらいはどうということはない。
定時を迎え、帰路につく。
再び満員電車に揺られながら、ふと思う。
「これが、俺の平凡な1日か」
自宅に戻り、シャワーを浴びる。
夕食はコンビニ弁当。
テレビをつけるが、特に興味を引く番組はない。
ベッドに横たわり、天井を見上げる。
「明日も、同じ1日が始まるのか」
異世界での英雄だった自分が、今はただのサラリーマン。
しかし、それが現実だ。
目を閉じると、異世界での仲間たちの顔が浮かぶ。
「みんな、元気にしてるかな」
そう思いながら、眠りにつく。
明日もまた、平凡な1日が始まる。
続く