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第79話 最初の行動

翌日、早朝──。

 都内某所の廃ビルにて、作戦チームが集結した。

 ここはかつて水科が異界研究の試験場として使っていた場所であり、現在は結界によって一般の認知からは除外されている。


 リーダーである高野は、仲間たちの顔を順に見渡す。

 ユイ、柚葉、千尋、そして水科。全員が装備を調え、決戦に向けて動き出す準備はできていた。


「村田が次に動くとしたら、境界干渉点……都内第六区の旧地下鉄跡だ」


 水科の言葉に、ユイが端末を開いて魔素分布を確認する。


「数時間前から、断続的な異常波形。観測限界を超えて、明らかに“向こう側”との共鳴が起きてます」


「じゃあ、行くしかないな」


 高野の言葉に、誰も異を唱えなかった。


「村田はあくまで“計画”を遂行しようとしてる。その前に、何が起きてるかをこの目で確かめよう」


「……了解」


 柚葉が静かに頷いたその時だった。

 千尋が不意に問いかける。


「高野くん。……もし、村田さんが“完全に向こう側”に取り込まれていたとしたら──あなた、どうするの?」


 沈黙。

 重く、鋭い問いだった。


 だが、高野はその目を逸らさず、まっすぐに答えた。


「俺は……たとえそれがどんな相手でも、現実世界を守る。

 もう二度と、仲間も、世界も、壊させない」


 その言葉が、全員の胸に刺さる。

 決意の言葉。英雄として、ではなく──一人の帰還者としての覚悟。


 そして、作戦開始の時が迫っていた。


(続く)

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