表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/96

『第5話:社長令嬢、本城千尋の観察記録──“高野陸、ちょっと変じゃない?”』

登場人物


※社長の娘※

■ 本城 千尋ほんじょう・ちひろ

年齢:30歳

ポジション:企画室室長/実質経営者ポジション

性格:切れ者・裏表あり/現代社会の“異能”に気づいている?

特徴:リクの異世界帰還を疑い、裏で調査している。後に協力者or黒幕候補

会社の最上階、応接フロア。

そこにいると、同じビル内とは思えないほど静かだ。

空気が澄んでいて、雑音が一切ない。

──まるで、異世界の神殿みたいだな。と、ちょっとだけ思った。


「ふぅん、高野さん……今日も絶好調ね」


モニターの前に座り、カップの紅茶をくるくると回す女。

白のパンツスーツに身を包み、淡々と映像を眺めているのは──


本城 千尋。この会社の社長の娘にして、経営企画室・室長。

表向きは“次期経営者”として、親の七光り扱いをされているが……

社員の動向を逐一把握する“社内の諜報王”でもある。


「早送り、ここ。会議室。……出た、“秘奥義”発言」

「……ギリギリアウトかな」


部下の一人が咳払いをする。


「室長、さすがに盗聴は……」


「映像確認って言って?社内セキュリティの一環よ。社長命令」


笑顔が怖い。


「でもさあ、あの高野さん。最近ちょっと雰囲気変わったと思わない?」


部下がこくこくと頷く。


「なんていうか……こう、無駄な気配が消えたというか……」


「あと、“ちょっとだけ時間が歪んでる”感じ、しない?」


「……えっ?」


「ふふっ、冗談よ。たぶん」


千尋はまた紅茶をすする。


「まさかね。異世界帰りなんて……あるわけないじゃない」


そう言いながら、彼女の机の端には一冊の本が置かれていた。


──『召喚理論と異世界記憶障害』

──著者:国際魔術研究機構 日本支部


そのタイトルを部下が見てしまいそうになり、千尋はそっと手で隠す。


「ま、しばらく観察ね」

「彼が本当に“普通の人間”かどうか……確かめるまで」


部屋の外では、今日もどこかで誰かがクシャミをした。


高野 陸──異世界帰還者。

その存在は、すでに一部の者たちの視界に入っていた。


続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ