表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

30/96

第29話 お弁当を買いに行ったらスライムがいた

昼休み。

 会社のビルを出て、少し離れた裏通りのコンビニへと向かう。

 社内のレンジは壊れ、冷蔵庫は封鎖。


 唯一信頼できるのは、コンビニ飯。


 ──そう思っていた。


 だが、その帰り道。


「……スライム、か?」


 俺の視線の先。

 側溝の中で、ぷるぷると揺れている何かがいた。


 透明で、水色で、明らかに“ただの水たまり”ではない。

 動いていた。跳ねていた。


「嘘、だろ……」


 冗談で済ませるには、あまりにも“異世界的”すぎた。


 俺はそっと《魔力視》を展開する。


 視界の中に、青白くゆらめく魔素の残光が浮かぶ。


(間違いない……スライムだ。異世界の──)


 瞬間、スライムはぴょんと跳ね、マンホールの隙間へと逃げていった。


「おいっ、待て!」


 思わず声を出してしまった。


 周囲の人々は、こちらを振り返るが、何も見えてはいないようだ。

 当然だ。魔力視がなければ、ただの幻影にしか見えない。


 マンホールには、見慣れぬ紋章が刻まれていた。


 それは、異世界の王都近郊で見た“転移封印陣”によく似ていた。


(……ここが繋がり始めている?)


 冗談でも、偶然でもない。

 この世界に、あの世界の“裂け目”が、確かに存在している──


 俺はその事実を、初めて“この目で”確信した。


(続く)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ