24/38
第23話 この世界で、異世界が目を覚ます(高野視点)
朝、いつも通りの満員電車。
だが今日は──「トンネルを抜ける瞬間」に、“何か”が起きた。
窓の外、黒い壁が裏返り
時間が巻き戻るような感覚
誰も気づかないのに、自分だけが“世界の異常”を感じている
次の駅、ホームの人影が一瞬“青白く二重写し”になる──
そして消える。何もなかったかのように、日常は続く。
会社に着いても手の震えは止まらず、PCのパスワードを3回ミス。
村田にツッコまれても、笑って返すのがやっと。
(……あれは、絶対に“何か”の始まりだ)
そして高野は、ふと思う。
柚葉も、ユイも──
もしかして、もう何かに気づいているのかもしれない、と。
《続く》