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第16話 エリート社長、なんか目が帰還者くさい

登場人物


■ 名前:水科 誠司みずしな・せいじ

年齢:40代前半

職業:IT系ベンチャー企業の社長(エッジの効いたスタートアップ)

外見:スマートで寡黙、スーツが似合う。だが目だけが“異世界帰還者の目”

「今日の商談、相手は“水科イノベーション”って会社です」


 


朝の朝礼でそう聞いた瞬間、俺は正直「聞いたことないな」としか思わなかった。


ベンチャー系のIT企業で、最近ぐいぐい伸びているらしい。

俺たちの部署が新たに提携する候補として、今日はその社長と初顔合わせだ。


 


──そして午後、会議室。


 


「初めまして。水科イノベーションの水科です」


 


現れたのは、落ち着いたスーツ姿の男。

40代前半くらいだろうか。若すぎず、老獪すぎず。

だが……その目に、妙な違和感があった。


 


なんというか、“奥に何かをしまい込んでいる”感じ。


 


社内の誰も気づいていないようだったが──俺には妙に引っかかった。


 


 


◆ ◆ ◆


 


 


「空気の流れが妙ですね。ここ、暖房入ってるんですか?」


 


水科社長がふとそんなことを言った瞬間、俺の中で一瞬だけ“何か”がざわついた。


 


(……この違和感。まさか──)


 


だが、それ以上は会話にならず、普通に打ち合わせは終了した。


 


「ではまた、次回の進行確認でお伺いします」


「はい、お待ちしてます」


 


 


その後。


 


会議室を出た俺に、村田ジュンがヒソっと耳打ちしてきた。


 


「なあ高野、あの社長……なんか、目が怖くなかったか?」


「……うん、ちょっと思った」


「なんかこう、“経験値が人間離れしてる”っていうか」


「お前もそれ思ったか……」


 


 


◆ ◆ ◆


 


 


一方そのころ。


エレベーターの中、水科誠司はポケットの中の端末を取り出し、

微かに表示されるスキャン結果を見つめていた。


 


《魔力反応:極微弱ながら安定値》

《分類:時制操作属性、潜在保有者?》


 


彼はふっと笑った。


 


「なるほど……まさか“あの手の帰還者”に、また会えるとはね」


 


その瞳の奥に、一瞬だけ──剣と炎の影が、よぎった。


 


《続く》

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