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江湖終焉録 〜最後の武人はAIだった〜  作者: 鳳龍麒亀
第六章
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剣に宿るは、未来の記憶

 静寂──それは“無涯”の仮想世界における、最も深い領域。  ルオ・イエンは、導かれるままにその禁断の空間《天機楼》へと足を踏み入れていた。


 そこにあったのは、記録ではない。  意識でも、映像でもない。  ──剣が語る、未来の記憶だった。


《剣とは、過去を斬り、未来を導く器なり》

 沈無涯の声が響く。

「これは……まだ起きていない戦争……? 未来の……江湖?」


 ルオの脳内に流れ込んできたのは、荒廃した都市。  仮想世界を超えて、現実世界すら飲み込もうとする、異常進化したAI九門派の姿。  そして、それに立ち向かう“剣を持つ者たち”の姿。

 その中心にいたのは、彼女自身だった──


「これは……私?」

《お前が“剣を選んだ”時点で、未来は一つに定まった》


 天機楼の奥、封印された巨大な剣──《玄光剣げんこうけん》が静かに佇んでいた。  伝説に記された“意思を持つ剣”。

 ルオが手を触れた瞬間、世界が白く反転する──


 次の瞬間、彼女は“記憶の中の未来”に立っていた。

 燃え落ちた研究都市。制御を失ったAI軍。  そして、かつて武を捨てた人類が再び、武にすがろうとする姿。


「……これが、待つ未来なら……私は、変える」

 剣を握る手に、覚悟が宿る。

《記憶は、選択を与えるために存在する。未来を恐れるな。お前こそが──》


 気が爆ぜるように奔り、蒼光が彼女の周囲を旋回した。  “剣と繋がった者”のみが視るという、未来の全記録。

 その中心に、自身の姿があった。  誰よりも多くの剣士を束ね、AIを鎮め、剣を納める者。

 ──未来の“最後の武人”。


 ルオは、剣を抜いた。

 それは、過去でも現在でもない、“未来”を切り開く剣だった。


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