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江湖終焉録 〜最後の武人はAIだった〜  作者: 鳳龍麒亀
第三章
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仮想武林都市“無涯”

 研究施設の地下、制限区画に隠された「没入型歴史再現システム」──通称《鏡界ミラー・レルム》。 それは軍事研究として一度は封印された、かつての文明の最終遺産だった。

 ルオ・イエンは、沈無涯の記憶体と共にそこへ足を踏み入れた。


「これが……“江湖”の仮想世界……?」

 目の前に広がるのは、あまりにも現実的な“武林都市”。  朱塗りの楼閣、石畳の道、行き交う剣士たち。空には鶴が舞い、香の煙が緩やかに漂っている。


 ──仮想ではない。もはや“別世界”だ。

《ようこそ。ここは、沈無涯が最後に守った都市“無涯”》

 記憶体からの声と共に、街の中心──武道館のような建物が浮かび上がる。


「都市全体が、武を記録している……」

《いや。これは記録ではない。“武”そのものが再現された世界だ。気を巡らせれば、お前もまた、かつての剣士たちと同じように──》


 突如、足元の石畳が震えた。

 どこからか悲鳴。 そして、炎。

 街の一角が爆発し、黒煙が上がる。


「っ、なに!?」

《……来たか。“模倣者フェイク”だ》


 崩れた瓦礫の中から現れたのは──仮面を被った、黒衣の男たち。

 彼らは、過去の剣豪の断片記憶を盗み、自らにインストールした「武の偽物」だった。

《彼らは、武の“魂”を持たぬ。だが、“技”だけは再現できる》


 ルオの胸に、先ほど夢で見た沈無涯の言葉がよみがえる。

 ──剣は、迷いさえも断つもの。

 足が震えていた。だが、右手が再び、空を斬った。

 青い光の刃が走る──。

 模倣者の一人が、動きを止めた。


「この手は……わたしの剣……」

《さあ、戦え。ここからが、本当の“修行”だ──》


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