第二話
遅くなってしまい申し訳ございません。見切り発車で投稿するのはよくないですね⋯。
深く暗い森をえっちらおっちら足を進めて数分時間。上から見ても横から見ても下から見ても緑、緑、緑、黄色、緑、ピンク。たまに筋トレしてる樹とか爆走するフランスパンとか羽ばたくきつねうどんとかチラチラ見かけはするが目に入る色彩がほっとんど変わらない。そのせいか何分何時間歩いているか分っからない。たまに出てくる非日常生物(命名:私)も最初は面白かったが、5,6回見るとさすがにドキドキ感は消える。
引き返そうかとも思ったが引き返したところで頼るところも寝るところも何も無い。それならば前に進み続ける方が良い。分かっている、分かっているのだよ頭では。だがな、さっきも思ったが上を向いても、横を向いても、下を向いてもほぼ緑。
「飽きるってぇ⋯。」
ボソリと落ちた言葉がすべてを物語る。つまりはそういうことだ。飽きたのだ。新たな色彩を求め前に進み続けても緑と黄色とたまにピンクの景色が延々と目に入り続ける。見知らぬ土地で景色が変わらないのはわりと辛い。
何とか視界に入る景色を変えようと樹と樹の隙間の空を見上げた。目が覚めたとき空は深い碧だったはずだ。だが今はどうだ、色になりかけているではないか。数分歩き続けていたのではなく数時間単位で歩いていたのだろう。この世界が12時間で昼と夜が交代するのであればの話だが。蛸と烏賊と鯨の殺し合いは終わったのだろうか。閑話休題どうりで足が棒になりそうなわけだ。
(明日は筋肉痛か⋯ははははは⋯)
夜を越せるかも分からないが絶望し足を止めギャン泣きするより現実逃避して目が笑っていなくとも引きつった笑みを浮かべたほうがいい。気がする。現実は変わらないのだが。
完全に日が沈み空の海が蒼くなった頃、私の足は止まった。
「疲れた。」
(おそらく)何時間単位で歩いているので仕方ない。現実逃避でも思考放棄でも誤魔化しきれない疲れが出てきてしまったからだろう。
進むことを拒む足にムチを打ち近くの樹を背に座り込んだ。ため息を一つこぼし空を見上げる。今まで考えてなかった、考えたくなかったことが足を止めたことで嫌でも頭に浮かんでくる。もともと私はどこから来たのか、なぜ記憶がないのか、ここはどこなのか。目を逸らしていた不安に心が押しつぶされそうになる。
そんな不安のシミが広がる心を抱いたまま、私は星空の海に見守られ、眠りについた。
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樹の下で眠っている「???」を見つめている影が一つ。
厄介事の種は既に芽吹いている。