⑯星まつりのねがいごと
今夜は星まつりの日です。お山の学校の子どもたちは、はじめて星まつりにさんかできるのでうかれています。ながれる星にねがいごとをするとかなうといわれているからでした。子どもたちはどんなねがいごとをするのでしょうか。
今日のお山の学校では、子供たちはどこかうかれています。
それは、はじめて星まつりにさんかできるからでした。
それというのも、星まつりの夜にながれる星にねがいごとをすると、そのねがいごとはかならずかなうといわれているからです。
「ぼくね、お星さまがながれるのを見つけたらね、早く大きくなるようにおねがいするんだー」
「わたしはね、お料理ができるようにとおねがいするのよ」
「わたしなんてね、お母さんのように、なんでも上手にできるようになるって、おねがいするの」
クマの子が自分のねがいごとを言えば、ウサギの子とキツネの子も続けて自分のねがいごとを口にしました。
他の子たちもつられたように、自分のねがいごとを言いだしました。
「ぼくは早く走れるように!」
「わたしはおせんたくが上手にできるように」
「おいらは力が強くなるように」
「わたしはねえ」
「ぼくのもきいて!」
皆が楽しそうにねがいごとを口にするのに、一人だけもじもじとしている子がいます。
それに気がついたクマの子が言いました。
「きみのねがいごとは?」
「えーと」
問いかけられたブタの子はもじもじとして、答えようとしません。
「ねえ、ねがいごとはないの?」
キツネの子もねがいごとをききたくて、ブタの子に問いかけました。
「あ、あるけど」
もじもじとして言わないブタの子に、みんながつめよります。
「ねえ、わたしたちは言ったのに、あなたはおしえてくれないの」
「そういうわけ……じゃないけど」
ブタの子はうつむいてもじもじとしています。
「はあ~、もういいよ。そんなに言いたくないのなら、言わなくていいさ」
オオカミの子が強いちょうしでいいました。
他の子たちも気分をがいしたのか、フンとブタの子から目をそらしました。
「えーと、そのね、おかあさんの……びょうきが……なおりますように……って、おねがいしようとおもうんだけど……」
小さな声で言ったブタの子を、みんなはハッとした顔でみました。
そうなのです。ブタのお母さんはすうじつまえから、びょうきでねこんでいると、おとなたちのかいわからきいていたのです。
みんなはチラチラとみかわしあってから、オオカミの子がいちばんに口をひらきました。
「そ、それならさ、ぼくも、ブタくんのおかあさんがよくなるようにと、おねがいしようかな」
「わたしも」
「ぼくも」
「みんな、ありがとう」
ブタの子はにっこりとみんなへとわらいかけました。
とびらのかげから聞いていた先生も、にっこりとわらいました。
さて、その夜。星まつりが行われる山の上の広場に、みんな集まりました。
おとなたちは持ちよった料理をならべて、ワイワイとはなしています。
そうしているうちに、夜空の星たちがキラキラとかがやきだしました。
星まつりのはじまりです。
スーッ と、星が空をよこぎっていきます。
いくつもの星が空をながれていきました。
夜半をすぎるころ、子どもたちはお父さん、お母さんの背にのって、家へとかえって行きました。
さて、子どもたちは、ねがいごとを言うことができたのでしょうか?
すうじつごにブタのお母さんは良くなり、ブタくんも元気に学校にかよっています。




