お客様 1人目 つづき
ケンゴという冒険者から話を聞いたあとです
次の日、私は街に出かけていた。
理由は簡単、行き詰まっているから。
気分転換のためと、街で見つかる新たな発見を期待して10分ほど噴水の水の動きを見ていた。無駄な時間である。
ところで、噴水に沈んでいる硬貨は一体何なのだろう。
もしこの硬貨たちが、1度も回収されてないとしたら、今では希少価値の高い硬貨なんかもあるのだろうか。
それとも、このお金たちは噴水の修理とか維持とかで使われているのだろうか。
…分からない。
そんなどうでも良いことを考えていると、
カーン カーン カーン カーンっと、4回の鐘の音がなった。
これの意味は重傷者が出たということ、冒険者でもない私は昔の癖ですぐにギルドへと向かった。
オオカミにでも襲われたのか、着ている防具ごと切り裂かれ、血だらけの冒険者達がそこに横たわっていた。
冒険者と言っても、まだ子供、私より一回りは下の子達が傷だらけで倒れていた。
「すいません。ただ今、高ランクの冒険者がいない状況で、申し訳ありませ」
「分かりました、すぐに処置します」
顔なじみのギルド職員が近づいて来た時点で、事態を察した。
「ミドルヒール、ミドルヒール、ミドルヒール、ミドルヒール」
これでも元B級冒険者、絶対に彼らを死なせたりはしない。
「ポーションお願いします!」
幸い、追放金のおかげでお金はある、私は全力で彼らを治した。
お客さんの来る前に私はバーへと急いで戻った。
「あら、遅かったわね」
「いや〜、柄にもなく全力出しちゃいました。お金もすっからかんです」
「4回鳴っていたものね。私、あなたのそういうところが好きなの」
「えへへっ」
何とか助かった彼らだけど、たぶん、やめちゃうだろうなー。
そして、ケンゴさんとの約束の日が来た。
「お待ちしてました」
「お願いします」
「これはあくまで提案です。もちろん断っていただいても構いません。早速、提案したいところですがその前に一つ質問があります」
「あぁ、分かった」
「あなたは、他者の現時点での能力または強さが分かりますか?」
「…」
「答えにくい質問で申し訳ありません、無理に答えなくても結構なのですが…」
「いや、大丈夫だ。もう引退しているからな。口外はしないと誓ってくれるか」
「では、私の名前において "コントラクト"」
「まさか、魔法で契約までしてくれるとはな。
俺は限定な他者の未来が見える。状況によって異なるが、だいたい1週間後くらいの姿だな、それが見える。」
なるほど、だからだったのですね。
「ありがとうございます。
…
では、私が提案するのは未成年冒険者育成です」
「どういうことだ?」
「簡単に言えば、未成年冒険者に対して、お金を貸与もしくは贈与し、あなたの能力で彼らに対して適切な依頼をいくつか見繕うのです」
「…」
正直、私ならやらない、面倒だから。けれど、ケンゴさんならやってくれると、そう思ってしまった。
「あ、もちろん、無償ではありません。ケンゴさんが提案した依頼の依頼料の1割を払います」
「1割?」
「え、あ、や。交渉と今後の成果次第ではもう少し増や、」
「いや、その1割は冒険者の子供たちが払うのか?」
「いいえ、ギルドが払います。子供たちは10割全て貰えます」
「前向きに検討しよう」
「ほ、ほんとうですか!」
「では、いつ頃時間があるでしょうか。冒険者ギルドも交えての話し合いになるのですが」
こうして、冒険者ギルドに1つの部門が追加された、冒険者ギルド "育成科"。
新人冒険者を羨むベテラン冒険者が出てきたとか、出てこないとか…




