お客様 1人目
あらすじ
主人公が冒険者をやめ、職業案内人をはじめました。
もう歳だな。冒険者生活30年、ランクはシルバー、まさに中堅だな。
だが、もう最近は体力も無くなった。あいつらについて行くだけで限界だ。
この間なんて、俺が足を引っ張ってるせいでパーティの連携が乱れ、1歩間違えていれば全滅だった。
俺は脱退することを伝えるために、皆を集めた。
「みんな、休みなのに済まない。
俺は… 俺はこのパーティーを抜けることにする。
今まで、ありがとう」
「待ってください。僕たちはケンゴさん無しではまだまだ未熟で」
「経験が沢山ある ケンゴは必要 うん」
「そうよ、私なんか、」
「本当は、分かってるだろ 」
彼らは涙を流しながらも最終的には、脱退を認めた。
そして、ギルドの受付に向かった。
「次の方達どうぞー」
何故か、彼らは一緒に着いて来ていたが、構わずにギルドへと報告する。
「パーティ"サクラメイト" からだっ」
「「追放します」」
俺が脱退すると言おうとするや否や、彼らは被せるように、そう言った。
「承りました。パーティ"サクラメイト"からシルバー級冒険者ケンゴを通常追放します」
基本的に追放では多額の追放金を追放された者に払わなければいけない。
追放させた責任として、3ヶ月は不自由のない生活をさせるためだ。
「と、こんな感じだ。冒険者としては少々歳上だったが、まだ45だしな。あいつらからの金も無駄には使いたくない」
「なるほど。誰かの元で働くよりはそのお金を使って事業をしたいということですか?」
「いや、誰かの元で働いても全然構わないんだが。あいつらの金をどうせなら、自分以外に使いたくて、そういう職業を出来れば教えて欲しい」
「分かりました。また、3日後に再度お伺いしてください。あなたに合う職業をお伝えします」
と言ったもののこんなにも職業案内が難しいなんて。
というか、追放金って3ヶ月分なのね。通りで多いと思ったわ。
私の追放金でこんなに多いってことは、あの有名なサクラメイトはさらに多いはず。
「どうだった? 初めてのお客さんは」
お店が終わったセレナさんが、サッと水を渡してくれる。
彼女は神様なのだろうか
「んー、難しいですね。
でも、なんだか楽しいです。私のことを紹介してくれてありがとうございます」
「あたりまえよー、私のバーの人気の1つになる予定なんだから、あなたの仕事は。まぁ、行く行くは独立しなさい」
「はい!」
水を1杯飲み、私はまた、思考の渦へと入っていった。
私としてはケンゴさんには教官になって欲しい。彼の教えの評判が聞いたことがある。実際、彼が基礎を固めたパーティはサクラメイトを始めとしてこの街で有数のパーティへと成長している。
けれど、もう冒険者としては活動できないと自ら退いた。
自ら、事業をする場合、彼には運営をサポートする人が必要。
そういう人の紹介は今は無理。
「寝ます!」
「おやすみなさい」




