剣と魔法の世界
朝、目が覚めると外から少し笑ってしまう鳴き声をした鳥が鳴いていた。
もう7年も毎朝聞いていると、不思議と朝が来たのだなと感じてしまう。
これが年寄りと同年代からも言われる理由かと自分のことながら納得してしまう。
「グレム!朝よ!」
そう呼び掛けてきたのは、この世界での新しい母であるナーシャである。
「今行く!」
私は不思議な事に第二を人生を歩み出していた。私が暮らす村は「ラド村」と呼ばれており、人口二千人の村にしては大きめの場所だ。
更に詳しく話すと、私の暮らす国はマードルド王国であり、ここの領地を治めているのはハーバル子爵様と呼ばれる貴族の方だ。
「グレム、朝食を食べた後畑を確認するから、準備をしときなさい」
「わかった」
今会話していたのが今世での父、ザードである。息子の私が言うのもおかしいがかなりのイケメンである。
母から聞いた話によると、昔は村中の女子から毎日のように告白されていたそうだ。その激戦から見事父のハートを鷲掴みにした話を、小さい頃から何回もされた。
準備を終えた後、父と共に畑へと向かった。歩きながら周りの風景を見つめると見慣れているはずなのに感嘆の声が漏れてしまう。
日本の田園風景とは異なり、例えるならヨーロッパ中世の田舎?と言えるだろう。広い大地に、トマトやきゅうり、ナスなどご整列されて植えられており、収穫の時期になると村に住む住民総出で収穫をしている様子は日本では中々見られない光景で、初めて見た時は30分ほど見惚れていたものだ。
「グレム、父さんは向こうから虫の確認をするからお前はここから頼む」
「了解」
父と別れるとすぐに作業に移った。まだ、地球の様な虫予防はなく、手作業で虫を取り除いている。最初は嫌悪感もあったが、手袋の様な布地のものがあったので、すぐにそれは消えたが。
小1時間ほどすると広い畑の確認も終わり、早めの昼食になった。
中世くらいの生活だったので、最初はあまり食事も期待していなかったが、食事に関しては地球に近い水準だったのだ。
それは魔法と呼ばれる力が大きく関わっていた。
火を起こす時、水を汲む時も魔法を使われた魔道具のおかげで楽になっている。
この世界では一般の人でも簡単な魔力操作ならできる為、魔道具の魔石に魔力を定期的に注ぐだけで使う事が出来る。
「そうだグレム、時間があるからお前の魔法を見てやろう」
「ほんと?」
「ああ」
実はうちの父は魔法の適性があり、魔法を使う事が出来たのだ。一般的に皆生活魔法を操作する事は自然と出来るけれど、他の魔法を使うにはセンスがいると言われており、イメージが簡単な火種を使ったり、土を少しいじったりなんかは出来るがそれ以上は一定の教養がないとイメージがしにくいそうだ。
前世の知恵があるお陰か私は魔法を使う事ができた。
「お父さん、これでどう?」
「あぁ、相変わらずお前は凄く上達するな」
父さんが苦笑いしながら話した。
(最近魔法について教えたばっかりなのに、既に私よりも上達しているな。もしかしたら、この子は将来魔法使いになるのかもな)
「よし、魔法については父さんから言う方はないから、帰ったら剣術について教えよう」
「了解、じゃあ早く後片付けしないとね」
私の父は昔、騎士にならないか貴族様から話された事があるらしい。母がいた為、断ったそうだが剣術に関してはわざわざ父に習いに来る人もいるらしい。
大変恵まれた環境のお陰で、今では父と打ち合える程度には成長している。まぁ、一度も勝ててはいないが。
けれど、このままいけば『夢』にかなり近づける。
そのためにも頑張っていこう。
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