7.もう、ここには
その後も、なんて事のない世間話が続いていた。
父、母、彼と三人で話が進んでいる。
弟が途中で、茶々を入れているのが見える。
会話の内容は、私の頭の中には全然入ってこなかった。
黙って目の前にあったご飯を全て完食し、
「ごちそうさまでした。」と伝える。
立ちあがろうとする私に、
「ちょっと!もう帰るの!?
せっかくだから何か話していきなさいよ。」
「そうだぞ。せっかくみんなでいるのに、
すぐ部屋に行ってしまうなんて!!」
父と母が私を責め立てる。
頭の中でブチっと何かがキレる音が聞こえた。
「……もう、訳がわからない!!
知らない人を連れてきて、結婚相手なんて…
私の気持ちも無視して…
結婚なんて大事な話、勝手に話を進めて、
何時代よ!今!!
しかも私、彼の名前も知らないんだよ。
何も話すことなんかない!!」
ドアをバンとしめて部屋に行き、
必要最低限のものをバッグにつめて外にでる。
目からは涙が溢れていた。
とにかく、どこかに行こう。
もう、ここには居場所はない。
もう、ここにはいたくない。
私を分かってもらえない。
話を聞いてもらえない。
なんで私ばっかり!!
私は、ここにいるのに!!!
子供の頃から、
心の中で連呼したその言葉が、
何度も身体中を駆け巡った。
イライラして、すごく悲しくて、寂しくて。
辛くて。
とにかく自転車を漕いだ。
◇
顔に当たる風が、ひんやりとしている。
外は暗くなっている。
どんどん涙が出る。
こんなに涙を流したことは、あっただろうか。
自転車を漕いでいると、
河川敷についた。
ここは好きな場所だ。
ランニングをする人も多く、
夜でも少し明るくて、考え事をするにはぴったり。
悩みがあると、缶コーヒーを片手に、
昔からよく来ていた。
だけど、ここに来るのは久しぶりだった。
今日は、ランニングをしている人も少ないようだ。
階段に腰掛けて、自分の気持ちを思い返す。
なんで?どうして?
勝手に話を進めるの?
私のこと、分かってくれないの??
そう思うとまた涙が出てくる。
子供の頃から感じていた、あの無力感が強くなって、
帰ってきたようだった。
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