4.広場でのショー
そうとなったら善は急げだ!
近所の不動産屋で新居の相談。
いくつかピックアップしてくれる。
数日後に、良さげなところを内覧することになった。
とても楽しみだ。
◇
金曜日の夕方。
自転車で不動産屋に向かう。
仕事がスムーズに終わったので、時間には余裕がある。
なんだか駅前の広場が楽しそうな雰囲気だ。
そういえば金曜日の夜は、広場にカフェスペースができたり、
軽食屋さんができたりしているんだった。
せっかくだし見てみよう。
自転車を置き、辺りを散策する。
そこまで広い広場ではないが、
みんな各々に時間を楽しんでいるようだ。
広場の奥には開けた場所がある。
今日は、大道芸やマジックショーがあるらしく、
子どもたちが集まってきていた。
ちょっと見てみようか。
時計を見ると、不動産屋の待ち合わせ時間まであと少し。
知らない間に時間が結構経っていたようだ。
自転車の方に向かうと、ショーが始まる音楽が鳴った。
アコーディオンを弾いたお姉さんが歌っている。
大道芸のお兄さんは、器用にボールを3つもお手玉している。
そしてマジシャンの男性は…
……!?
彼だ。
いつも家に来ている…彼だ。
(自称)私の結婚相手の…。
彼は相変わらず家に来ていた。
毎日ではないみたいだけど、うちに来るのが日課になっているようだった。
早くここを去ろうという気持ちと、
彼を見てみたいような気持ちが重なる。
舞台には彼一人になる。
子供が1枚カードを選んで…
カードが消えた!?
そのカードはなんと…
彼のポケットにあった。
子供たちは大歓声をあげた。
周りで見ている大人も大喜びだった。
私も…少し感心した。
その瞬間、彼と目があった気がした。
ヤバい!私が見てたってバレる!!
なんだかとても恥ずかしい気がして、
自転車をこぎ出す。
そうだ。私は新しい家の内覧に行くんだった。
もう一度だけ、彼の方を見る。
子供たちに手を振っている。
私が見てたって、バレてはないか。
もう少し見ていたい気もしたが、
その気持ちは無視して、自転車を漕ぎ出すのだった。
ウロウロしてたら、あっという間に時間が経つよね。
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