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19.すごいスピード
「今日はこの子の大好物なのよ。
いっぱい食べてね。」
目の前には、カラッと揚げた唐揚げが、
山盛りになっている。
お母さんが作る唐揚げはすごく美味しくて、
ボクもファンになっていたので、
彼女も同じものが好きだと知って嬉しかった。
…。
彼女はずっと無言だ。
黙々とご飯を食べている。
しかもすごいスピードだ。
なんだこの空気は…
ボクが話しかけられる隙がない。
その様子を見て、
お父さんとお母さんが話しまくっている。
なんだか会話になっていない気が…
気を遣ってくれているのがヒシヒシと伝わってくる。
すみません。お父さん、お母さん。
お父さんがボクに話しかける。
「最近仕事はどうなんだ。
ボランティアも続けているんだろう。」
自分から話し出すことができない空気だったので、
これはありがたい。
「仕事は楽しいですよ。
最近は部下もできて、張り合いがあります。」
今日部下に注意されたことは伏せておく。
ボクの小さなプライドを守るために…。
そこからも、彼女は黙ったままだった。
声をかけることができないまま、
ボクの短いチャンスの時が、すごいスピードで流れていくのであった。
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