5.無我夢中
「あの…突然すいません。」
「おお!さっきのマジックショーの兄ちゃんじゃないか!
座って座って。一緒に飲もうぜ!!」
怪しまれるかと思ったが、
お父さんは機嫌よく席に案内してくれた。
かなりノリがいい人のようだ。
ボクもビールを注文して、一緒に乾杯する。
気合いを入れるために、一気に飲み干した。
「いきなりなんですが!!」
第一声が大声になってしまった。
緊張していたが、一言話し始めると自分の中で言葉がどんどん出てきて、
無我夢中で話した。
魂のつながりの童話のこと。
夢で彼女と出会ったこと。
あなたとも夢で会ったこと。
偶然とは思えないこと。
もし、あなたに娘がいるなら会わせてくれないかと、
勢いに任せて土下座する勢いだった。
側から見たらギョッとされるんじゃないかと思うくらい、
一生懸命だった。
お父さんはボクの話を、何も言わずに聞いてくれた。
ボクが話し終わるのを待って、お父さんは手に持っているビールを飲み干した。
少し間を置いて、
ボクの肩にポンと手をおく。
「よし!!
それなら娘は、君の運命の相手だ!
結婚だ!!結婚しよう!!さあ、行こう!!!!!」
え、ええー!!!
結婚!?!?何言ってるの!?
ダメだ…この人、かなり酔っ払っている。
どうも、娘はいるようだ。
それはよかった。
だけど、いささか強引では…???
せめて、娘さんの写真を見て確かめさせて
ってちょっと何これイタイ…
この人、めっちゃ力が強いぞ!!
気づいたら、ボクはお父さんに強引に連行されて、
家に向かって歩き出したのだった。
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