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なろうの国のアリス  作者: みさま
3/4

ある日。森の中。犬と猫さんに出会った。

 扉を開けると、そこは森でした。

 しかし、普通の森とは違います。

 見たこともない虫たちがいっぱいそこには居ました。


「き、気持ち悪いわ!!」


 その虫たちは一匹一匹がおぞましいぐらいに、憎い姿をしていて、ネットでアップするならばグロ画像と認識されるほどでした。

 テレビの生物の生態紹介番組が妙に見難いのと同じです。

 人はネットでは気持ちの良いものしか見たくないことをずっとネットに入り浸っていた彼女は知っています。


 気持ちの悪いものを見たら人はすぐに批判します。

 これはダメだ、あれがダメだと批判することで自分は正しいということを自分自身に認識させたいのです。


 しかし、生物は批判する傾向はあまりないのです。

 生物を批判しても仕方がないとネットの住民でもさすがにわかるみたいです。


 批判できない、しかし気持ち悪いものを見たくないとなれば見ないという選択となるのは必然でしょう。

 フォロワーが離れてしまいます。

 この時、彼女はこの虫たちは撮れ高Fランクと鑑定しました。


「恐ろしいわ........Fランク!」


 彼女はこの環境から早く逃れるために一目散に駆け出します。

 この時、彼女にはちゃんと帰る時の道しるべを残しておくという考えはありませんでした。


 どこかから、二チャリと三日月型に笑う猫の影が有栖を見ていたことを、この時の有栖はまだ知りません。




 --




「はぁ.......」


 有栖はため息をついていました。


 あれから何時間が立ったでしょうか。

 森の中をそそくさと、逃げるように道を進んでいた有栖ですが、とうとう疲れ果ててしまいました。


「お腹空いたわ、喉もカラカラよ.....」


 そして、有栖はとうとう歩く力もなくなって地面にへたり込んでしまいました。


「もうダメだわ.......スマホうさぎ......」


 有栖が諦めかけたその時。

 近くでチャパチャパと水が跳ねる音が微かに彼女の耳に届きました。


「み.......みず......?」


 世紀末を歩く北斗神拳伝承者のような言葉を発して、有栖は周りを見渡し、さっき音が聞こえた方向へ導かれるままにフラフラと歩き出します。


「み、みず......!」


 歩いたその先にはそれはそれは大きな湖がありました。


「みずみずみずみずみず!!!!」


 カレーライスというゲームがあることをご存知でしょうか。

「じゃんけんぽん!」と言う代わりに「カレーライス!」と叫び、リズムに乗って三つの言葉を言います。

 もし、自分の出す手が「グー」だった場合、「グー辛」


 じゃんけんであいこになった瞬間に「水」と先に言ったら勝ちという誰が開発したかわからない謎のゲームです。

 そのゲームぐらいでしかこんな言葉は発しないでしょう。

 それか、もじぴ○たんとかでしょうか。


 湖に駆け寄った有栖は、水を最初は手で掬い飲みしますが、効率が悪いと察して顔を湖に直接つけます。


 この時の有栖には湖が安全な水だとか、そんなことは微塵も脳裏を擦りませんでした。


「ぷはぁー!!生き返ったわ!」


 金曜日の仕事終わりの上司みたいなことを言う有栖は、ここで自分に向けられた二つの視線に気づきます。

 パチャパチャと水が跳ねていたのもきっと彼ら達が原因でしょう。


「お前、そこで何をしているんダ?」

「貴様、何者だ」


 そこには、喋る黒猫と喋る柴犬が居ました。

 黒猫も柴犬も同じような体格で、子猫と子犬という印象を受けました。


 柴犬はなんだか語尾が少し音程が外れて喋り方は変に聞こえました。


 有栖は「(日本語が不自由な可愛そうな子犬さんなのかな?)」と内心思いました。


 この時の彼女は不思議の世界であることを既に受け入れていて、犬と猫が喋るという事ですら不思議に思いませんでした。

 それより彼女の頭の中を支配していたのは『スマホ兎』の事です。

 アレを撮る事が今の彼女の行動指針となっていました。


「貴様、どこから来た?」

「ッ!?....なんてこと!」


 黒猫が再度問いかけます。

 有栖はそれに対して、ようやくこの犬と猫が撮れ高が通常より高いことに気がつきます。

 気がついた有栖がやることは一つです。


 いつも持ち歩いているスマホに手をかけてそれと同時にカメラを起動。

 構えて早打ちガンマンならぬ、早撮りカメラマン。

 ゴ◯ゴもびっくりです。

 これがインス◯&ツイッ◯ーの二冠女王の実力なのです。


 シュパパパパパパパパパ!!!!


 流れるように繰り出された技は今、決まりました。

 彼女がネット女王になるにつれて自然と身についた技。

 その名も.........!


『インミィディエントリーショット!』

 ※ただの連写です。


「なっ!なんだ貴様!」

「なにかしているゾ!気をつけロ!」


 ただ写真を撮らされていることを知らない彼らは彼女の謎の行動に警戒をします。

 そもそも写真という存在すら知らないのではないでしょうか。

 警戒するのも仕方ありません。

 きっと有栖はこの後、SNSにこの写真をUPするでしょう。

 彼らが人間と意思疎通できるのだとしたら、肖像権などは発生するのでしょうか。

 そこの所どうなんですか?犬のおまわりさん。いえ、犬の弁護士さん?

 え?法哲学者に聞いてくださいって?

 そんな職業の方がいらっしゃるんですか?


 ..................はい。今カンペが出ました。

 地の文の役割をしている私でそういう事をやると苦情がいっぱい来るのでやめて欲しいということですね。

 どうせ苦情来るほどこの小説、人が見に来ませんよ?(笑)

 ネット小説なのでぶっ飛んでもありですよね?

 そうです。なんでもありなんです。

 だってネット小説だもの。


 ーーお話に戻りましょう。



 写真を撮っていた有栖は、柴犬と黒猫が喋っている所は動画でしか撮れないと思い、目にも留まらぬ速さで指を動かしてカメラを起動します。

 この速さに彼女のスマホは追いつくことが出来るのは、彼女のスマホは彼女自身が改造してできた彼女専用の超高速型スマホなのだからです。


 ピコン。


「ッ!?また奇妙な音が鳴ったぞ!あの四角い板のからだ!」

「今度は何が来るかわからないゾ!身構えロ!」


 柴犬と黒猫は身構えます。

 謎の少女は、腰を低くして四角い板を横に持ち変えてジリジリと体を揺らさず近寄って来ます。

 それはまるでいつも3Dゲームで操作キャラの後ろを歩くカメラマンのような動きでした。

 そう、その動きは一切の揺れも起こさないカメラマンを極めた者のみが取得できる、カメラマンSランクスキル!


『パラレルムーブメント!』

 ※ブレない撮影です。


 お互いに見合う中、ジリジリと距離が縮まる。

 達人同士の勝負が一瞬で決まるように、間合いを互いに駆け引きする戦いがここに始まっていました。


 その刃も拳も爪も交えないその戦いはたった数分の間だったが、犬と猫には何時間にも感じられました。




「犬と猫って人間よりも心拍数早いらしいわよ、その分時間も人間より早く感じる。だからこの表現間違ってるんじゃないの?」

◯えー、嘘〜?(ギャル風)

「なんで私が嘘つくのよ、バカなの?」

◯ごめんなさい。罵倒されて嬉しがるMキャラじゃないんでもうやめて泣

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