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デバイス/デバイサー  作者: 清水雪灯
デバイス/デバイサー
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第7話『読者モデル』-2

 たった二回の読者モデル……。

「プライド高いだけの一般人いっぱんじんじゃないか」

「あいやー、レンガ君、それ地雷だよー」

 ちょっと雑誌に掲載けいさいされただけでトップモデルの仲間とか思っているのか、こいつ……。

 俺たちの言葉にトドメでも刺されたのか、コウのプライドはたいそう傷ついたらしい。

「お前らのアプリ、ズタズタにしてやる!」

 デバイスをかまえた。やはりダメな大人だ。

「じゃあ、見えているアプリから潰していこうか」

 マップに表示されている俺たちの名前とメクリ。

「後ろの子、アプリだろ」

 デバイスを叩き、コウが言った。

「メクリ、ブレイク」

 メクリが消滅した。

<アプリ/ブレイク>

 一瞬いっしゅんだった。

 何が起こった?

 メクリがあっけなく消された。

 まったく攻撃されていない。俺たちにもメクリにもダメージはなかった。

「ほらいよ、来いよ、来いよ、ガキども!」

 名前を呼ばれただけでブレイクされた。

 デバイスに表示された相手のアプリ<コール>。五ブロック。

「呼ぶだけってことかしら?」

「ふええ、名前、呼ぶだけで負けちゃうの?」

「うかつにアプリ出すな、全部ブレイクされる」

 こいつの余裕はこういう理由か。

 ヤバイ相手に遭遇そうぐうしたらしい。

 この人のアプリなら、あのシャッコウだって直接バトルせずにアプリをブレイクして消滅させることができる。

 このデバイスのシステムとして、発動中のアプリはおたがいのマップに表示される。どうあがいても名前を隠すことができない。

 どれだけ有効な次の一手いってを選んでも、発動の瞬間、名前を呼ばれてブレイクだ。

「次どうした? ほら早くしろよ、ガキども!」

 ただ、いつでもブレイク可能なのにめてこない。顔には汗が浮かびあせりの色が見える。

 様子がおかしい。圧倒的に相手のほうが有利なはずだ。

「なんでもブレイクできるなら、あんたが最強だ。なぜ焦る?」

「うるせえ。早く、かかってこい!」

 単純だな、こいつ……。

「……ってことは、そのアプリに弱点があるってことだ」

 おそらく回数制限、もしくは時間制限が存在する。だからうかつに連発できない。

「五ブロック。確かに優秀だ。おそらくチームを組めば最強になれたよ、あんた」

 こういうデバイサーが味方にいれば、サポートとしては最強クラスだ。

「けど、あんた、プライド高すぎ。……友達いないタイプだろ?」

 ブレイクから一分いっぷん経過。自分のデバイスをタッチ。

「悪いな、ウチのメクリはブレイクされても一分で復活するんだよ」

 光に包まれ、メクリがすぐそばに出現する。

「マイトリガー、よろしいですか?」

「手加減なし!」

「了解しました」

「おおい、ちょ、待て待て」

 瞬時に接近したメクリが拳を引き、容赦ようしゃなくどくモの顔面を叩き潰す。

 汚い悲鳴をあげて崩れ落ちたコウ。

「ボクの顔に傷をつけたな……」

 メクリに殴られ鼻血を出しながら、それでもさわやかに髪をかき上げる。

「許さない許さない許さない」

「それは悪いと思うけど……掲載されたの、たった二回だろ。それ職業モデルって言えるのか?」

滅殺めっさつるぞ、テメエ」

 あ、人格、変わった。

「たった二回なのに……」

「余計なこと言わなくていいわよ! 火に油じゃないの!」

「だって事実だし……」

「ぬるいしテメエ、許さねえしテメエ、ボクさまサイコーだしテメエ!」

 残り少ないプライドをバッキバキに折られてこわれたらしい。ヤバイくすりでもやっているのか。


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