第5話『他校遭遇』-6
デバイスの機能停止で、ゆるキャラも消滅していた。
誰よりも最前線で爆破の直撃を浴びたゼンだけが、かなりの全身大ヤケドだった。
「回復、頼む」
倒れたまま動かないゼン。
「ヨルコ、治してやってくれ」
「なに言ってんの、レンガ。ここでヒール使ったら、また……」
「一時間リキャストだろ。分かってる。でもこのままじゃ、こいつが死んじまう」
「んもう……」
不満そうに口を尖らせ、しぶしぶアプリを発動させる。
「このあと、もっとヤバイ相手が出てきたらどうするの」
「大丈夫、ヨルコとアサヒがいれば負けないさ」
「もー、さらっとそういうこと言うんだから」
ヨルコの言いたいことは理解している。回復なしで次のバトルを乗り切らなくちゃいけない。
「回復系アプリ……そんなものまであったのかね」
苦しそうにせき込んでいた先生が、興味深そうに目をほそめる。
「これで楽になるだろ。しばらく辛いのは勘弁な」
後ろの二人も多少は焦げていたが、ゼンほど酷いヤケドではない。スイカおっぱいも無事だった。
「レンガ君、それより肩」
さっき刀で刺された傷。言われてみると、すげー痛い。
「回復タイプはないんだけどね、ちょっと便利な<包帯>アプリ!」
お手軽に出現した包帯でクルクルと俺の傷口を巻いていくアサヒ。
「お前、いつからこんな器用になった?」
「うえ、ま、前からだよー」
気のせいか、セリフが棒読みだった。
「こんな勝ち方もあったのか……」
仰向けに倒れたまま、うっすらと目を開けるゼン。
ヒールを浴びてかろうじて意識を取り戻したらしい。力なくつぶやく。
「このデスゲーム……ボクたちは相手を殺すものだと思っていた」
デバイスを破壊され、もう争う気力もないのだろう。
「こういう勝利もあるんだよ」
手をかして引き起こす。
「崖っぷちで根性見せた奴が最後の最後で笑うんだ。覚えとけ」
「ああ、参考にするよ」
浮かび上がるメッセージ。
『残りデバイサー、四十』




