表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
デバイス/デバイサー  作者: 清水雪灯
デバイス/デバイサー
16/51

第2話『刑事発砲』-2

 まさかマンガのコマのことか?

 最後のコマ……。まったく意味が分からない。

 とりあえず人間のかたちはしているが、一応いちおうアプリである以上、人ではないのだろう。

 じーっとメクリの胸元むなもとを見つめる。ほどよい形。ほどよい大きさ。悪くない。でも機械みたいなモンだからなにかたもの出来できているのか。

「ちなみにワタシの胸は肌ざわりバツグンのやわらか素材そざい出来できています」

 まさにこの出会いは運命。

「よっし、人生なにが起こるか分からない。うっかり死ぬ前に確認せねばならない。そのおっぱいをまねばならない! 今、決めた。俺はおっぱいをさわると今、決めたあああーっ!」

「アホがあああーっ!」

 ヨルコの強烈なハイキックが顔面にきまった。あえなく倒れる。

「待て、男のロマンだ。さきっちょだけでも!」

「それどころじゃないでしょ!」

乳輪にゅうりんだけでも……」

 顔を踏まれた。

 アプリなんだから、いーじゃないすか……。

はな、いてえ……」

 突然マップに名前が表示された。遊んでいる場合ではない。

 敵がる。

 態勢たいせいととのえ自分のデバイスを確認。現在、俺のアプリはメクリ、フロート、ホールド。さきほどの<奥義>もインストール。いざって時はこれでメクリの攻撃力が三倍にできる。

 あまりちからしは当てにならないが無いよりマシだ。

 近づいてくる。相手はまらない。

 青山あおやまトザン。デバイサーだ。

 実際に戦ってみるまで相手の能力が分からない。得意なのは遠距離なのか、近距離なのか。ストレートなパワー系か、それともトリッキーな能力なのか。

 最初の接近遭遇そうぐうがもっとも緊張する。

「ね、ガード使っとく?」

 先に手のうちさらすのが果たして得策とくさくか?

「待て、相手の姿が見えた」

 同時に空気が破裂はれつした。

 少し遅れてそれが銃声だと気がつく。俺たちの足下あしもと一発いっぱつ弾丸だんがんがめり込んでいた。

 たぶんアプリじゃない。本物の拳銃か?

 現れたのは中年の男だった。

 ボサボサの髪。ヨレヨレのふるぼけたスーツ。くつまでどろだらけだった。すでにべつの戦場を経験してきたのか、俺たち同様どうようひどよごれている。

挨拶あいさつがわりに撃ってくるなんて、いきなりプレイヤーキルかよ」

 かるくあおってみるが相手は表情を変えない。危険な環境に慣れた雰囲気がある。

 こちらに銃口を向けたまま、男がしゃべりだした。

「腕にいているそのオモチャをはずせ」

「無理だ、あんたもデバイサーなら分かるだろ」

「それが危険なオモチャだってことは分かる。とにかく外せ」

 無茶苦茶ってくれるな、この人。

 普通の街にいて、スーツで、拳銃所持しょじ。最初の一発は威嚇いかく射撃。

私服しふく警官ってトコかな、青山トザンさん?」

 相手の腕にもデバイスがみついている。画面に表示されているお互いの名前。

「あいにくさぐり合いをしている余裕がないんだよ、学生さん。こっちも急いでるんだ。全員ぶち殺せってルールだろ? しかも百人。……こんな仕事は早く片付かたづけたいんだ」

 男の指が引き金にかかる。

 会話で引きばせるタイプじゃない。すでにこの人は精神的にかなり追いめられている。

 俺がデバイスにれた途端とたん

うらむなら、あの悪魔を恨んでくれよ」

 撃った。

 あまりに短い時間。

 考える余裕はなかった。

 対応たいおうできない。

 銃口は確実に俺を狙っていた。

 銃声が聞こえた気がする。

 あっけなく死ぬ。俺は死ぬ。

 数回のまばたき。

 上がる硝煙しょうえん

 現実がゆっくりと流れる。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ