よりみち:Knight's Memories3-1
アルナイル帝国とは別の国、その国の貴族は政治をする権利を持っていて貴族の長男として生まれると引き継がなければならない掟がある。
騎士団員の1人はこの国で生まれボンドヴィル家に生まれた。シュバリエと名付けられ、勇敢で騎士のように勇ましい姿であってほしいという願いがあったらしい。
ボンドヴィル家には厳しい習慣があった。シュバリエはそれが嫌でいつも家を抜け出して街に出ていた。帰ると怒られるのも日常茶飯事で母親の怒声には飽き飽きしていた。父親も同じように怒るのだが母親とはレベルが違う。殴りかかってくる、剣の鞘で叩いてくる、家中めちゃくちゃにする、など上げるときりがないくらい暴れる。
その環境が嫌だった。長男ということで時期国の政治家としてやらなければならない。
シュバリエの性格上縛られたくはない。もっと自由でいたい、街の同じ位の年齢の子のように自由でありたい。そう思いシュバリエはついに家を飛び出し、国を捨てた。
一方当時のアルナイル帝国ではある被害が出ていた。内容は“商人が襲われて荷物などを取られている。至急騎士団員を向かわせて対処するように”と。
「ということです、団長。どうしますか?」
「とりあえず下がってほしい。少し考えるよ。決まったら呼ぶから」
「わかりました」
騎士団員の1人が団長室から出て行った。団長室にはいつも通りシャルロット、イーニアスもいる。
「で、どうするのフィリクス」
「今回は僕が行くよ。なんか呼んでる気がするんだ」
「バカなの?」
「バカとはなんだ。これでも真剣に考えてこその判断だ。イーニアスも異論ないな」
「ない。がトイレは済ませておけ。その場所はトイレなんかない。外でされると国の恥」
「えっ、そこまで言われるの? 僕」
団長のお腹事情は毎度の事。今回行く場所は国境付近で何もない。商人達の行き来や旅人が歩く道として舗装されているだけの場所。つまり何もない。団長は何人か団員を連れてその場所へ向かった。
国境付近に着いた。本当に何もない。見渡していると何人かこちらに向かってきた。かなり焦っているようにも見える。フィリクスはどうかしたのか聞いてみた。その者ら商人でたった今襲われて逃げてきたそうだ。依頼通りここにいるらしい。その商人たちに居場所を教えてもらいそこに向かった。
商人の言う通り荒らし屋はいた。奪った者を漁り食べ物などを豪快にかぶりついている。その姿はさながら野生の動物。フィリクスたちの存在に気づくとその鋭い目を向けた。
「おめぇら何もんだぁ。商人じゃあなさそうだが、まぁいい。金か食料があんなら置いていけぇ。そうしたら何もしねぇ」
「怖い怖い。僕はアルナイル帝国騎士団長フィリクス・メイヤー。依頼により君を連行する」
「あぁ? 連行? そりゃ物騒な話だぁ。やりたきゃ力尽くでやってみろよ」
「そうだろうと思ってた」
団長は剣を抜き、シュバリエは全身にエンチャントをかけた。シュバリエはフィリクスに突っ込んでいき拳で何度も殴りかかった。フィリクスは剣で防ぎながらその攻撃を躱した。
「けっこうやるじゃあねぇか」
「一応団長なんで」
シュバリエは引き続き殴り続けたがフィリクスは全て躱した。段々ムキになり大雑把になってきた。
「てめぇ、やるならさっさとこいよ。連行するだろ?」
「君がそこまで言うのならやってあげよう」
2本の指をシュバリエに向けた。シュバリエはピクリとも動かない。そしてフィリクスは動かないシュバリエを一瞬の内に何度も斬った。
シュバリエの意識が戻ると体に激痛が走った。膝が折れ血だらけの自分に驚愕した。
「何を……した」
「僕は特殊体質持ちで『停滞』を使えるんだ。これで君も終わりだ。大人しく連行したいけど、提案があるんだ。どうかな?」
「はっ、何にも言われてねぇのに、はいそうですなんて言えるか」
「それもそうだ。提案というのはアルナイル帝国の騎士団に入らないか」
その言葉に付いてきた他の団員が異論を唱えた。犯罪者にそのようなことはあってはならない。
「君たちの言うこともよくわかる。けどこいつはなかなか強い。アタッカーで前衛向きの戦闘スタイル。今の騎士団に持ってこいだ。なんせ前衛がシャルロットとランスロットとあと数人くらいだし。シャルロットに任せていたら色んな意味で危ないし。で、どうする。入ると言っても2回試験をやってもらうよ。内容は君の大好きそうな戦闘だ」
「入ってどうすんだ。やることねぇのに入ったって意味ねぇよ」
「騎士団に入れば強い奴らが沢山いるし、異国に行けばもっといる。やることないなら入りなよ。絶対やることは見つかる。けど犯罪は犯罪だから償いはしてもらうよ」
「考えとく」
「そうかい。1ヶ月後だ。その時になれば来るといい。それまでの間捕らえないでおく。ただしまだ犯罪行為を続けるのなら、その時は容赦なく捕らえるからね」
フィリクスと団員はその場を立ち去った。
シュバリエは考えた。あのように強い奴らが沢山いる場所がある、略奪しなくてすむ、やりたくないことをやらなくてすむ、それに家から完全に決別できる。そう考えると無性に嬉しくなる。シュバリエは1ヶ月後の剣魔祭の出場を決意した。
想像以上に長くなったので2つに分けることにしました。2つ目は2日以内に投稿します。
もう誰かわかっていると思います。彼の口調的に無理があったので3人称目線でやらせてもらいます。




