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神速の騎士王  作者: 天月 能
2章 倭国事件
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No.7:終わりと始まり

 地上に出てきたオフィーリア、アーサー、シャルロット。3人は学院の中庭に集まる他の騎士団員がいる場所へ向かった。着くとユリエルが近づいてきた。


「任務失敗したようだなぁ。戦利品はきゅうりってか」


「勝ってもないのに戦利品はないだろ、ユリエル。団長はいる?」


「ああ、ついさっきトイレから戻ってきた。今も腹おさえてらぁ」


「一発殴ってやろうか」


「やめときなさい、アーサー。殴っても何も変わらないわ」


アーサー達は団長のいる場所まで歩いた。少しするとお腹をおさえた白髪赤目の男が苦しそうに座っていた。かなり苦しそうだ。


「団長、任務失敗しました」


「うん、わかったよ。それより手に持っているのはきゅうり?」


「ええ、本と入れ替えられたの。迂闊だったわ。きゅうりに変えさせられるなんて」


シャルロットの一言にオフィーリアは疑問を生じさせた。


「あのー、シャルロット様」


「なに?」


「落ち込んでいたのはまさかきゅうりに変えさせられたからですか?」


「ええ、そうよ。本を奪われたことなんて後からどうにかなるでしょ。でも負け方はどうにもならないわ。魔術師として恥ずべきことだわ」


オフィーリアは色々勘違いをしていた。いやおかしいのは向こうだ。任務失敗より負け方を考えているのはおそらくこの人だけだと思った。


「アーサー、本当にこれでいいのですか」


「まぁ、別に大丈夫だろう。それにここにいる8割はシャルロットと同じ考え持ってる人だし。でもやられっぱなしにはするつもりはないよ。何年、何十年経ってでもやり返す。それが俺らのやり方だ」


 オフィーリアはとてつもない違和感を抱えたままアーサー達とその場を去った。

 学院が派手に壊されている。一部はアーサーの契約している魔神ザガンによるものだ。工事は早急に行われ完全に終えるのに1ヶ月程かかった。その間も授業は普通に行われアーサーも授業を受けていた。そして建物が直った日のことだった。アーサーとオフィーリアはいつもの様に授業を終えアルデバラン寮に戻り夕食の準備をしている時だ。ノック音が3回程なった。


「いきなりすまないね、アーサー。話があるから来させてもらったよ」


ノックの主は帝国騎士団団長フィリクス・メイヤー。


「何のようですか団長。来なくても呼べばこっちから行くのに」


「アーサー授業とかで疲れてるだろうから呼ぶのは忍びなくてね」


「特には疲れてはいないから大丈夫なんですが、どうせシャルロットにでも言われたんでしょう。立ち話もなんですから中へどうぞ」


「お邪魔するよ」


フィリクスはそう言うとアーサーの後に続き部屋に入った。そして椅子に座ると魔術を展開し部屋を防音にした。


「ここまでやるってことはそれなりの任務ですか?」


「うん、かなり重要だよ。一週間後皇帝陛下は東洋の国『大和国』の中央都市『洛陽』に行かれることになって、騎士団は番号が偶数の方に行ってもらうよ。残りは国の護衛に務めることになるよ」


「俺はNo.30だから行かなくちゃならないというわけか」


「うん、本来なら僕が行かなければならないけど、話し合いで決まったんだ。それにアーサーはあいつに会えるし」


「久々に会うな、あいつとは」


「というか私は聞いていていいんですか?」


「誰にも言わないならかまわないよ」


大和国の中央都市洛陽と言えばこの世界屈指の商業都市であり軍事国家、その国の兵はどの国よりも上に忠誠を誓い真っ直ぐな性格をもつ。特に将軍直属の部隊全員が騎士団最強である団長と同等の力がある。しかし少数精鋭のため10人しかいない。アーサーは一度この国に訪れその直属部隊の1人と出会い友人関係にある。相手も同じ位の歳で馬があったのだろう。因みにアーサーがもつ刀は帰国前に買ったものだ。


「というわけだから用意をしといてね。学院長には許可をもらってるから心配しないでいいよ。それじゃあ」


 そう言うと団長が戻るのを見届け部屋に戻った。アーサーは少しにやけた。アーサーはあの国に行くのが楽しみで仕方がない。


「一週間後か。いやー、楽しみだなぁ洛陽。あいつと会うのも久しぶりだし、何か土産物でも持って行くかなぁ」


「楽しそうですね、アーサー」


「ああ、楽しみだとも。あの国はなんていうか気持ちがいいんだよ。それにこの刀もそこで買ったんだ」


「そうなんですか。でもアーサーがいない間は任せてください。ノートもちゃんと写しておくので」


「うん、リアのノート完璧すぎるからなんの心配も起こらないよ」


そう言う会話がしばらく続いた。月が高く上がる頃に寝て、次の朝が来る。


 ついに一週間後がきた。その日アーサーはオフィーリアより早く起きて城の方に出かけようとした。部屋を出ようとした時オフィーリアが起きてきた。


「もう出かけるのですか?」


「うん、早く行かないとみんなに怒られるからね」


「では、頑張ってきてください」


「うん行ってきます」


アーサーは寮を出て城の方に向かった。行き先は大和国の洛陽。再確認をし城まで普通に走った。



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