No.49:村開発その1
バアルの言う村の発展はおそらく王国に発展させろという意味だ。といってもどういう経緯で王国になったかは史実上明らかにされていない。そこは時の流れに任せるしかないわけだ。出来るだけ史実通りに事を進める。アーサーができることはこれと魔術の発展の2つだけだ。その過程で本を見つければいい。というわけで過去生活1日目が過ぎた。
2日目、ベッドもなく大和国の布団に似ている寝具で寝た。薄すぎるためほぼ床寝だから腰が痛い。ちなみに今いる場所は村長宅だ。一室余ってるので貸してくれた。村の近くで顔を洗い、準備運動をし村に戻った。
村長宅とは別に仕事用の家の2階は魔術の工房になっている。少年ソロモンはすでに魔術の研究を始めていた。
「ソロモン、何の研究してるの?」
「次の魔神と契約するために魔界と接続してるんだ。これが結構大変でさ。バアルの時もかなり時間がかかったんだ」
「バアルに手伝ってもらえば早いと思うけど」
「バアル、なかなか手を貸してくれないんだ」
「頑固者だからね」
「全くだ」
少年ソロモンは続きを始めた。魔神に関しては手の触れようがない。何をやればいいのやら。
アーサーは村を歩きまわった。人は活気にあふれ幸せそうだ。だがこの村の1つ欠点を言うと衛生面が欠けている。今アーサーができることはこれしかない。早速ダビデ村長の所に行った。
今いる所は仕事部屋ではなく村民が一同に会する大きな1戸建ての家。現代風に言うと会館みたいな所だ。そしてアーサーはダビデ村長に事情を説明した。
「なるほど、地下深くに水路を作り下水処理場を設けるか。廃棄されたものは後に分解の魔術を使い細菌とそうでないものを分ける、さらに浄化の魔術で水キレイにしついでに細菌を殺す。浄化された水は川に放流すると」
「どうですかね」
「大いに賛成だ。村がキレイになるのはいいことだ。それに病気にもかかりにくくなるのもいい。だが聞かせてほしい。水は放流しても大丈夫なのかい?」
「えぇ、浄化の魔術は細かい所までキレイにし滅菌します。汚水は浄水にすることもでき熱を加え沸騰させ冷ますことで飲料水にできます。魔術を駆使すればできないことなんてないありません」
「なるほど、なら早速取り掛かろう。そして今回のプロジェクトはアーサー、君に託そう」
「いいんですか」
「あぁ、構わない。それに君は我々の知らない知識を持っている。その知識を活かし村の発展に貢献してほしい」
「わかりました。ではやらせていただきます」
こうして発展への第一歩を踏み出した。
>>その1:下水の地下水路を作る。
村の外に出た。これから行うことは地盤をそのままにして地下をくり抜き水路を設置その水路を各家と繋げ下水処理場まで伸ばす。その後また土で埋める。この作業をするわけで第1に地盤の硬化をする。そうすることで陥没を防ぐことができる。
「出てきてくれ、アルケミスト」
アルケミストはザガンの眷属にあたりザガンと同じく錬金術を使う。しかし性能はザガンより低い。劣化ハーゲンティと考えた方がわかりやすい。それでも人間が使う錬金術より精度は高い。そしてザガンの眷属は小型の悪魔ばかりだ。
「ザガン様は?」
「反応なしだ。おそらくここがソロモン王が生きた時代だからだと思うよ」
「ソロモン王が生きた時代、その時わいは生まれていない。だからこうして存在できるわけか」
「この時代にあるものは存在できない。ザガンは生きているから未来のザガンは存在できない。だからこの時代にいる間は君たち眷属に頼ることになる」
「ザガン様がいねぇならしゃーねぇ。で主人、今から何をするんや?」
アーサーはアルキミストに今回のプロジェクトについて説明した。アルケミストは錬金術を使い言われた通りのものを生成した。さらに硬化の眷属ハーデンを呼び出した。ザガンの眷属は全9体でみんな使う魔術が違うことが特徴だ。ハーデンは硬化の魔術を使うことができる。というわけで村の地盤を硬化した。
「さて、他の眷属たちも手伝ってもらうよ」
追加で出した眷属2体。造形の眷属クラフトと構想の眷属ドラフトを呼び出した。ドラフトが水路の配置、各家を繋げる為、どこに穴を開けておくかなどを考えてもらう。その間、アーサーは今いる場所を拠点としそこから風の魔法を使い穴を掘り硬化の範囲外の地下を空洞化させる。その役割を果たして初めて水路を空洞内で組み立てる。こうしてアーサーの事業が開始された。




