No.46:見たことのない景色
傷のほとんどが治り歩けるようにもなった。久しぶりにずっと家にいたので暇にもなる。自宅安静中は基本やることがないためずっと本を読んでいたがそれも読み尽くした。そこで本の倉庫である図書館に私服で赴いた。
この図書館は2階建てに地下8階層もある巨大な図書館だ。ジャンルは様々で幼児類からなんでも揃っている。上2階と下2階までは一般人でも入れる。さらに下2階分は皇帝、国の政治に関わる人間なら降りれるが残りの4階層分は騎士団員しか入れないようになっている。理由としては昔の文献や魔術の資料、もっと遡ればソロモンが書き残したものも存在する。城にある1冊とこの間戻ってきた1冊は例外としてソロモンの書物はこの図書館にある。これらを扱えるのは騎士団員しかいないからだ。
アーサーは6階層の所まで降りた。たまにシャルロットがいるが今日はいないみたいだ。本棚を見ていると面白そうな本を見つけた。タイトルは“記憶に刻まれし我らの時間”と書かれてある。手に取ってみるとかなり古そうだが開いて見る分には問題はなさそうだ。アーサーは本を近くにあった机に置き本を開いた。内容は歴史書に近い。
かなり分厚い本を読んでいると段々眠たくなり目を閉じてしまい寝てしまった。そして数時間後寝てしまったことに気づき起きたらとんでもないことになっていた。
「やばい、涎が本に……とりあえず乾かしてなんとかしないと」
風と火の魔法を合わせ温風で乾かしていた。ただ普通に乾かしていると本が段々と光始めた。最初は気にしなかったがどんどん光が強くなり本のページがパラパラと勝手にめくられた。眩しすぎて目をつむり光が収まったのを確認しゆっくりと目を開けた。するとそこは図書館ではなく太陽が照っている外だった。街にいるわけでなく辺り一面土の大地で自分の後ろには森が広がっている。
「ここ、どこ。さっきまで図書館にいたはずなんだけど」
図書館どころか建物すら見当たらないしどこかに飛ばされたとしか思いつかない。原因はあの本に違いない。ランダムで瞬間移動する魔術書かと考えたがそれなら内容が一致しない。あれは歴史書だ。村や国、魔術の発展と書いてあった。いや、内容はこの際どうでもいい。とりあえず今どこにいるかが重要だ。
「ザガン、聞こえるか」
反応がない。何度も呼びかけるが結果は同じ。ザガンとの契約の証として左上腕部に紋章がある。ダイダラは右太ももだ。ダイダラを呼ぶといつも通り出てきてくれた。
「ここがどこかわからないし何が起こってもいいように剣を1本出して。あとソードベルトも」
口からソードベルトと剣1本が出てきてそれを身につけてた。ザガンの事は気になるが呼んでも反応がない以上どうしようもない。
太陽の沈む方向へ進むことにした。当てずっぽうだが待っていても助けが来る気がしない。何も考えずボーッと歩いていると何かの魔術がこちらに向かってくるのを感じ取った。頭上を見ると火属性の魔術の玉が2つ飛んできた。神速を使い難なく避けた。2つだけでは終わらず何個も飛んできた。飛んできた方向を確認しそちらの方へ向かった。術者はすぐに見つかり、杖を持つ男2人がいた。神速で近づき1人にはエンチャントした拳でなぐり、もう1人は剣を突きつけた。
「で、これは何の真似だ」
「ここは我らの領地だ。それを犯す者を攻撃し排除するのが我々の責務。ただそれだけだ」
「領地って、国が近くにあるのか?」
「クニ? なんだそれは」
国を知らないなんて有り得ない。村は存在するがそれは国の領地内に有り村を治めているのは村長を除けばその国のトップが担うことになっている。国に所属していない村、街なんて聞いたことない。大した情報は得られそうになかったためもう1人も気絶させた。
「にしても服のファッションが古すぎないか。流行に乗り遅れてるなんてレベルじゃないぞこれ」
服に疎いアーサーでも騎士団員として身だしなみは気をつけている。清潔にだらしなく無い格好をするようにしている。この2人はいつの時代の服を着ているのかわからないくらい古い。まさかここは辺境の地などと考えてしまう。もしそうなら先が長そうだ。アーサーは気を取り直してまた足を進めた。




