No.42:ソリタリオ・カンペオンその2
決勝戦の相手はギルバートになった。アーサーはギルバートの思った通りになったため少しだけ癪に障った。
アーサーの休憩中にオフィーリアが訪ねてきた。火傷や怪我は治っているみたいだ。
「さっきはごめん」
「いえ、少しだけアーサーの全力を見れたので満足です。もちろん負けたことは悔しいですが。……アーサー、聞かせてください。なぜあんなに焦っていたのですか」
「この個人戦の勝者には騎士団員と戦える。俺は早く戦いたいんだ。みんなは同じ団員だからいつでもいいだろって思うけどそれじゃダメなんだ。この場だからこそ意味がある。それが理由だよ」
「アーサーにも私たち学院生と同じように抱えてるものがあるのですね」
「まぁ、そういうこと」
「なら詳しいことは聞きません。早くギルバートに勝ってその願い叶えてください」
「ありがとう、リア。それじゃ行ってくるよ」
決勝戦の相手はギルバート・ブラッドレイ。ギルバートの姿を改めて見るとどこからその自信が湧くのか知りたくなるほど堂々としていた。
ルキアノスの試合開始のコールが響き会場が一気に盛り上がった。ギルバートは曲がりなりにも1等爵位の嫡男。父親が国の組織の人間ということもあり知名度はあるようだ。この中で瞬殺でもしたら申し訳ない気がしてきた。
「来い、神速の騎士王」
「さっきの戦いを見てよくそんな顔できるよ」
「はっ、あれくらいなら私もできるからな。御託はいい早く来い」
最初、アーサーは神速を使わずギルバートに向かっていき魔法、魔術も使わず剣技だけで戦った。しかしギルバートは遠慮なく魔法を放ってくる。
「どうした、そんなものか神速の騎士王!」
「手加減してることに気づいてくれ」
「声が小さくて聞こえんな!」
いい加減避け続けるのが大変になってきた。アーサーは風属性の魔法を使いギルバートの魔法の軌道をずらした。腹が立ったのか放つ勢いが増してきたが難なく魔法で軌道をずらした。タイミングを計り神速でギルバートの間合いに入りエンチャントした拳で思いっきり腹を殴った。顔を上げ前を見る頃にはアーサーは目の前に現れエンチャントされた足で顔に蹴りを入れられた。
「き、貴様……」
「もう面倒だから早く決めさせてもらうよ。それに一方的に殴るのはあまり好きじゃない。せめて剣士として剣を使って終わらせる」
「御託を並べおって……、貴様ごときに」
アーサーは剣に風属性の魔法を纏わせた。全身にスピード上昇のエンチャントに加え風属性の魔法でさらに速さを上げる。剣先をギルバートに向け一気に加速しギルバートに剣先が当たるか当たらないかのところで纏わせた風を暴発させ後方へ飛ばした。ギルバートは壁にめり込み崩れたと同時に壁から出てきたが衝突のショックで気絶していた。そして審判の判定を終えた。
『試合終了ーー! 優勝はクラスプレイオネ、アーサー・アルカディアだーー! というわけで優勝者には騎士団員ってかアーサーも騎士団員だけど戦う権利が送られるわけだけど、もう誰とか決めてたりする?』
「もう決めてるよ」
アーサーは騎士団員席の方に指差した。
「No.4ランスロット・エヴァンス。俺は貴方に挑戦します!」
ランスロット・エヴァンス。現在の騎士団の発足して1番最初に入団した。最も騎士らしく皇帝に忠誠を尽くし誰よりも厳しい。そして剣の腕は団長フィリクス・メイヤーの次に実力がある強敵。しかしアーサーには並々ならぬ思いがある人物でもある。それこそが何としてでもこの個人戦に出たかった理由だった。




