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神速の騎士王  作者: 天月 能
第1章 帝国騎士団とソロモン王の書
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No.4:裏切り者と魔神

 オーガスト・スタンフォードとの戦いで実力を見せたアーサー・アルカディア。隠し通すつもりだったがオフィーリアを手放すことはできず挑み勝った。その時に正体をバラしその後学院長の部屋へと向かった。


「いやー、バレましたね、学院長」


「バラしたの間違えじゃないか? ……本当によかったのかこれで」


「あそこでリアを手放すと折角の帝国騎士団候補がダメになり兼ねない」


「まぁアーサー、君自身がそれでいいなら文句はいわんよ。それより今からどうする、一度騎士団の方に戻るか?」


「そうさせていただきます。今日のことを報告しないといけませんし」


そう言うとアーサーは学院長室を後にした。

 その日は授業には出ず帰ってきたのは夜だった。そして部屋をノックした。


「ただいま」


「お帰りなさい、今日は帰ってこないと思いました」


「それも考えたけどやっぱりここが今帰る場所と思うと戻らないとな」


オフィーリアは薄暗の部屋の中で本を読んでいる。どんな本か聞いて見ると『帝国ガイドブック』だった。それはどの機関にどの人が務めているかやその人のプロフィールを軽く書いてある。もちろん帝国騎士団も。


「まさかアーサーがあのNo.30の方だったと思いもよりませんでした。魔力もそんなに高くなかったので」


「魔力は朝に出したダイダラっていう悪魔で一部封印していたんだ」


「そういうことでしたか。……なぜアーサーは帝国騎士団に入ったのですか?」


「今の団長に憧れたんだ。小さい頃俺もあんな風になれたらと思って毎日剣を振って魔力も高めて12歳の時に帝国主催の『剣魔祭』に出場したら途中案外手応えなく勝って憧れの騎士団に入団したんだ」


アーサーの言う『剣魔祭』は帝国騎士団に入団するための試験のようなもので正真正銘の実力だけで決まり勝ち抜いた1人が入団を許される。

 当時9歳のアーサーは誘拐にあった。その時に助けてもらったのが今の団長だった。幼いアーサーにとってヒーローであり恩人。その人の隣にいて役に立ちたいと思い剣と魔力を鍛えに鍛え入団した。


「これからアーサーはどうするのですか?騎士団の方に戻るのですか?」


「さっきも言ったけど今戻る場所はここだ。だからここに残るよ」


「そうですか。安心しました。ではまたよろしくお願いしますね」


「ああ、こっちこそよろしく」


改めてパートナーと認識し合い2人は寝床に着いた。

  次の日またいつものように起きた。起きたらオフィーリアがもう起きて支度は済んでいる日常。アーサーも寝癖を整え朝食を一緒に食べた。


「アーサー大丈夫ですか?」


「何が?」


「前まで実力を隠していたわけですし周りからの苦情や文句などは覚悟した方がいいと思いまして」


「そんなの負けた奴の負け惜しみだよ。放っておけばいいよ」


「アーサーがそれでいいのならいいのですが」


「心配してくれるのか」


「はい、とても心配です」


「……心配してくれるのはとてもありがたいけどこれでも騎士だ。問題はないよ」


 朝の会話は重いものだった。だからと言って学校を休むわけにはいかない。なら全力で実技の授業を受けるだけの話だ。これで文句をいう奴は一生実力が伸びないだけだ。アーサーも負け続けた時もあったが負けても何くそと食らいついたから今のアーサーの実力に繋がった。何事も食らいついて目標に手が届かせることが重要とアーサーは考えている。

  朝学校に登校すると案の定周りからの視線が注がれるがアーサーは気にしない。そんなのに気にしていては騎士にはなれない。むしろ堂々と胸を張り教室までオフィーリアと歩いた。

 1時間目は必修科目魔法基礎学。剣士であろうと基礎魔法は学ぶ。剣だけでは生き残れないということだ。2時間目は算術。基礎から応用まで3年間通して学ぶ。昼食を挟み3時間目と4時間目は実技。これが今日の時間割だ。2時間目の時間に事件は起きた。

  2時間目が終わろうとしている時だった。突然爆発音が響き、向かいの校舎から煙を上げていた。生徒達は何が起きたんだと思い周囲がざわざわとしていた。講師が確認を取りに終えると音魔法でマイクのようにして生徒全員に聞こえるようにした。


「今から避難の指示をする。全員その指示に従い速やかに行動するように!」


生徒は講師の言うことを聞き避難をした。一方アーサーは講師の指示を無視し煙の上がる場所に向かおうとするとオフィーリアもアーサーを追いかけきた。


「リア、ここからは危険かもしれない。戻って避難した方がいい」


「私はアーサーのパートナーです。それにこれは私にとってはいい経験になるかもしれません」


「怪我しても知らないぞ」


「怪我は治癒魔法で治ります」


「それもそうだな」


アーサーとオフィーリアは走りながら話をし向かい校舎に向かった。その向かいの校舎と現在いる校舎を繋ぐ廊下まで来た。廊下の後ろの方に人が1人立っている。


「やっと来ましたか、遅いのでこちらから行こうか迷っていました」


そう言う男は学院の講師が着る制服を着ていた。男の名はリュー・オーナデル。2年前に来た若手の実力のある講師だ。オフィーリアの魔術学の担当講師でもある。


「リュー先生が裏切り者だったとは思いませんでした。なぜこんなことを」


「帝国騎士団であなたならわかるでしょう」


「この学院の地下にある本のことか?」


「正解です。あの本さえあればどんな国であろうと恐れることはありませんからね」


「戦争でも起こすつもりか」


「それもありかもしれませんがなんせ僕は下っ端ですからその内容すらわかりません。僕の命令はここを通さないこと。ただそれだけです」


「そうか。なら覚悟はできているな」


アーサーは剣をリューはタクトを構えた。お互い睨み合い先に動いたのはリューだった。リューは2拍子のリズムにタクトを振った。


「僕の得意魔法は音魔法。音が奏でるメロディーをご覧あれ!」


そう言うが特に変化はないように見える。アーサーはオフィーリアが目で追えないスピードでリューに向かったがリューは軽々と受け流した。アーサーは負けずと攻撃するがリューには当たらない。


「どうなってるんだ。全く当たらない。それとなんか気持ち悪い」


アーサーはそう言うとオフィーリアは何かに気づいた。


「アーサー!空気が微妙に振動しています」


「振動してたらどうなんだ?」


「この振動は先生を中心に揺れていてさらに波長の中に私達がいて、真っ直ぐ通るはずの波長が私達のせいで歪み、その歪みを感じてアーサーの居場所を割り当ててると思われます!」


「流石は学院主席。正解です。アーサーの速さは特異体質『神速』によるものですがこの空間においては意味がありません」


「なるほど、なんか気持ち悪いと思ったらそういうことか。リアこれを打ち消す魔法あるか」


「あるにはありますが時間がかかります」


「なら時間は俺が稼ぐからその間に」


「そうはさせませんよ」


リューはそう言うと3拍子のリズムにタクトを振ると空気の振動がかなり激しくなり耳と頭が痛くなり頭を押さえた。


「すみません……アーサー、この状態だと無理が……あります」


「どうですか、アーサー。こんな状態では騎士であろうと私には関係なくなるのです。あとはあなた方を殺すだけです」


「ああ、やばいな……これ。さっさと奥の手出すんだったな」


「まだ立ち上がりますか。ですがこの状態は魔法と魔術は発動できません。勿論脳と体で処理する神速もですが」


「確かに無理……だけど、契約の魔術は別のはずだ。あれは頭で……処理するんじゃないからね」


「ならやってみなさい。しかし貧弱な悪魔では意味はないですが」


「じゃあ行かせてもらうぞ」


アーサーは指を少し切り血を地面に垂らした。すると血は広がっていき次第に大きな円になり外から中へと文字が出てきた。アーサーは腕を前に伸ばし言った。


「ソロモン王より仕えしものよ。その契約に従い我に答えよ。その力は万人に。その力を錬金に。我が名アーサー・アルカディアの名の下に姿を現せ! 61番目の魔神、ザガン!」


アーサーは頭痛のなか叫んだ。すると円陣が光り巨大な魔神が出てきた。見た目はミノタウルスのようだった。魔神は悪魔の中でも最上級であり昔帝国を作ったソロモン王と契約していた魔神達だ。今は30人の帝国騎士団が契約を結んでいる。リューは驚き口を開けていた。


「我を呼んだか小僧」


「呼ばなかったら……ここにはいないだろ」


「それもそうだ。ところで小僧かなり苦しんでいるようだがどうした」


「どうもこうもないよ。……目の前にいる奴の音魔法だ。なんとかしてくれ……ザガン」


「なるほどさっきからうるさいのはそのせいか」


「これは驚きました。まさか魔神が出てくるとは、ですが命令を破るわけにはいきませんので最後まで足掻かせてもらいましょう」


 リューはタクトを4拍子に振った。するとさらに激しくなり立てなくなっていた。


「ええい、うるさい音だ消えろ!」


ザガンは右腕を上げると無数の武器を生成した。そして腕を下げ無数の武器をリューにめがけて発射した。すると校舎の一階まで破壊した。音は止んだがまだ頭痛がする。


「やり過ぎだ、ザガン」


「うるさかったものでな、ついやってしまった」


そう言うとザガンは消えて行った。




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