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神速の騎士王  作者: 天月 能
2章 倭国事件
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No.17:遠くした記憶の中

 兼続とよく剣を交える場所で立ち合ったアーサーと伊三郎。最後伊三郎に言われた言葉をアーサーを迷わせた。逃げの剣。自分では逃げている意識はないために余計に頭を悩ませた。アーサーは近くにあるベンチに前のめりに腰掛けた。腰にある刀もとってベンチに掛けた。はぁ〜とため息をついた。


「こんなところで何してるのよ」


突然声がかかった。声の主は椛だ。椛はそのままアーサーの隣へと移動しアーサーの隣に座った。


「考え事だよ」


「考え事にしてはものすごく悩んでるのよ。よければ話してみるのも1つなのよ」


「本当に話してもいいの」


「聴かんこともないかしら」


アーサーは伊三郎とあったこと言われたこと今自分が考えていることを椛に話した。椛は一拍置いた。


「アーサーは悩み過ぎなのよ。簡単な話かしら。逃げてるのなら攻めればいいだけなのよ」


「それだけなら苦労しないさ。でも攻めると言われてもどう攻めれば」


「アーサー、よく聴くのよ。『かの剣豪は言った、武器を持ったなら立ち向かえと。かの剣豪は言った、武器を握ればみな平等と。かの剣豪は言った、武器を持ったなら命をかけて大切な人のために戦い守れと』」


「なんだよ、その話」


「これは2代目将軍が言いその父親が書き残した言葉なのよ。この国が出来上がる前大和国は天下統一を目指してあちこちで戦があったのよ。この戦に終止符を打ったのが初代将軍かしら」


その後椛はこう言った。初代将軍は弓兵として軍師としても優秀だったが剣についてはからっきしだった。一方その息子後の2代目将軍の剣は他の武士から『無敵の剣』と言われるほどだった。今も剣豪と言えば2代目とすぐに名があがる。無敵と言われた2代目だったが一度だけ負けになりそうだった戦があった。兵は疲弊し数々の兵が手から剣を離し負けを認めようとした時だった。2代目はあの言葉を告げ兵を鼓舞し勝ち戦となった。以後この言葉は励ましの言葉となって今も人々を鼓舞し続けている。


「ようは諦めない事かしら。そして剣は全てを語るのよ。怖い時自信がない時剣は震え嫌がるかしら。もう一度自分と剣を見つめなおすといいのよ。そうしたら自ずと答えは見つかるかしら」


椛はそう言って城の方へと行った。アーサーは横に掛けていた刀を握り鞘から出した。


「そういやまだお前の銘、決めてなかったな」


アーサーは立ち上がり刀を構えた。刀を振り思った。

——今の俺は結局昔の俺と変わらなかった。逃げて逃げてただ思い出したくないだけに遠い記憶にしただけだった。逃げていた自分から一歩変わるんだ!


アーサーは昔の自分をただ斬り払うのではなく過去を受け止め変わろうと自分を斬った。


「決めた。今日からお前の銘は『結斬ゆいきり』にするよ。」


アーサーは何かを心の中で見つけグッと刀を握った。



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