表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神速の騎士王  作者: 天月 能
2章 倭国事件
11/88

No.11:敵か商人か

 南條彩葉と出会い町を歩くアーサー達だがすぐに戻れと連絡係から伝達が来た。


「戻らないといけないから戻るよ。またどこかで会おう、リア」


「はい、また」


手を振り別れた3人は急いで城の方へと帰った。帰ると城の中が慌ただしく女中が廊下を早歩きで歩いていた。


「早く戻れはそういうことか。将軍様も粋なことするな」


「姉さん早く上に行きましょう。みんなが待ってます」


「おう、そうだな」


3人は大広間のところまで行き彩葉は豪快に扉を開けた。


「わるい、遅くなった」


「そう思うならもっと態度を正したらどうかしら」


そういうのは彩葉と同じく雷皇所属の日向椛(ひゅうがもみじ)だ。見た目は幼女そのものだが実力は言うまでもない。偵察、侵入、暗殺はお手の物。所謂忍者だ。


「まぁまて。こやつが遅れてくるのはいつものことだ。どうせまた喧嘩でも買ったのだろう」


「御子柴、よく分かってるじゃんか」


「ふん。早く座れ。みな腹を空かせている。向こうの方も長旅で疲れているのだ」


御子柴書文。槍、拳法の使い手で彩葉と同格の実力者だ。


「とりあえず彩葉たちはすぐに座りなさい。こうして両国全員揃っているのだ。アルナイルの方々も盛大に食事を楽しんでくれ。では合唱。いただきます」


アルナイル、大和国の全員が手を合わせ声を揃えていただきますと言った。国など関係なく話し食している。アーサーも兼続とエリスと食べている。


「なぁ兼続」


「なんだよ」


「椛はいつも1人で食べてるのか」


「そうだな。誘っても断られるんだ。だからみんなあまり話しかけないけど食事を以外はそれなりに話してるな」


「ふーん。そうなんだ」


 アーサーは立ち上がって椛のところまで行き隣に座った。


「1人で食事なんて寂しくないの」


「余計なお世話よ。椛は1人がいいのよ」


「子供らしくないなぁ。友達がいないのは勿体無いぞ」


「椛には必要ないかしら。椛は忍者。常に身を潜め耐え忍ぶことが基本なのよ」


「それってただの寂しがり屋なだけじゃ?」


「ちっ違うのよ。椛は1人が好きなだけで決して寂しがり屋じゃないのよ」


椛は急に動揺してアーサーに平手打ちをしたがそんなに痛くない。その辺は子供だった。


「そんなこと言わずにさ」


アーサーは椛と御膳を持ち上げ連れて行った。


「はい、到着」


「本当に余計なお世話かしら」


「椛、意外と抵抗しなかったな」


「変なこと言わないことよ兼続」


「はい」


半ば強引に4人で食べた。椛も意外と喋り子供らしい一面をみた気がした。

 食事会を終え女中が御膳を運んでいる。その間に各国側の席に座り直した。御膳が全て持って行かれた。


「さて腹ごしらえも済んだ。本題に早速入ろうと思う。今回の目的は外交だけでなくとある情報が入った」


そう切り出すのは将軍だった。


「この国の領土内で怪しい動きが見られた。たまたまその者らとすれ違った商人が耳にしたのが『あの書物さえあれば俺たちは無敵だ』と口にしたそうだ」


「書物はおそらくアルナイルのソロモンの書だろう。先日盗まれた。こっちに来ているとはな」


「まだ断定はできないが守備を強化しその者らに備える必要がある」


「それまでの間はこの国で共に守備に当たってほしいというのが今回呼び出した理由だな」


「そうだ。敵の戦力、実力共にわからない。増援をしていいくらいだろう」


「いいだろう。その書物が我らの物ならこちらにも責任があるからな」


「うむ。では各自指示されたところに行き怪しい動きがあれば尋問し聞き出せ」


雷皇が「御意に」と声を揃えた。騎士団も「はい」と揃えてその場を後にした。

 アーサーの守備位置は城の屋根の上。相方は北篠翔鶴だ。雷皇の中では4番手を張り弓使いで実力も言うまでもないが問題がある人物だ。


「翔鶴さん、なぜ俺がここなんすかね。足場悪いし俺向きじゃないんだけど」


「アーサーの役目は俺の守護だ。こちとら千里眼で辺りを見渡してるから自分の周りが疎かになるからいざというとき守るのがアーサーの役目だよ、はぁ」


「相変わらずやる気が見えない」


翔鶴は基本的にやる気が見えない。周りなんてどうでもよくただ弓を射れればそれでいい人間だ。弓を射るに辺りを大切な射的能力も特殊体質の千里眼により遠くても百発百中なのだがやる気がないため将軍に命令されない限り町の警護は一切しない。


「翔鶴さんは初のことどう思ってます?」


初とは雷皇所属柊初(ひいらぎはつ)のことだ。初は翔鶴に惚れていて何度もアタックしているが恋愛に興味ない翔鶴はいつもテキトーに答えている。因みに初は伊三郎の実孫にあたる。


「なんで初の話になる」


「初はいつも翔鶴さんにアタックしてるけどいつも蔑ろにしてるので」


「お前はよく周りを見てるよ。さっきの食事会も椛をさそってたな」


「そんなことよりなぜですか」


「元来俺は恋愛、お付き合い、結婚は興味ない。初がどんなに告白してこようともどうでもいい。俺はただ弓を射れればそれで十分」


「じゃあそう言えばいいじゃないですか」


「何度も言ってるが言うことを聞かない」


「そうなんですか。すみません、勝手なこと言って」


「いいさ、そう見えているならな。それより南の方角に誰かがいるな、あれは商人か?」


翔鶴は集中してその商人と思われる集団を千里眼で拡大し見た。馬が大きな荷物を運んでいる。それが2、3組ある。


「アーサー、南側にそのことを知らせろ。向こうには書文さんの弟子の不知火(しらぬい)がいる」


「てことは騎士団員はダリウスだな」


No.20ダリウス・クラフト。実力は中の上。彼はあくまで援護が得意とするため魔法と魔術もそっち寄りになっている。不知火綾乃は御子柴書文の弟子である。アーサーは思念の魔術を使いダリウスに知らせる。


『えーこちらアーサー。ダリウス聞こえる?』


『聞こえるよ、アーサー』


『そちらの方向に商人と思われる集団がいるから警戒しておいて。荷物確認も忘れずに』


『了解した』


アーサーは思念を終え城内で待機しているエリスにも伝えた。皇帝陛下も将軍も座り直し2人の知らせを待つことになった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ