No.10:思いがけない再会
アーサーは今、城内にいる。シャルロットに傷の手当てをしてもらった。
「今回はどっちが勝ったの?」
そう言うのはエリスだ。
「今回は引き分け。でも次こそは勝つよ」
「うん、応援してるね」
アーサーはうんと頷き部屋を出た。エリスははぁとため息をつき落ち込んだ。シャルロットはそんなエリスを見てニヤリと笑った。
アーサーは兼続を誘い城下町に出た。町は賑わっている。
「アーサーは何処に行くんだ?」
「鍛冶屋に行くんだよ。自分でも手入れはしてるけどプロの方にやってもらいたいんだ」
「そっちの国にはいないのか?」
「いるっちゃいるけどこっちの方が刀に合うやり方だし精密さはこの国の方が上だし」
「アーサーのところは刀に対応してないんだな」
「まぁね。片刃タイプの刀はあっちにないんだ」
兼続と刀について話しながら歩いた。アルナイル帝国では刀がないため基本手入れは自分でしなくてはならない。アーサーにとってこの国に来て1番やりたかったことの1つだ。歩いているとふと兼続があることに気づいた。
「なぁアーサー金髪の女がいるぜ。この国に金髪はいないから別の国の人だな。実に優美な人だ」
アーサーは目を大きく開け驚いた。金髪の女性は見覚えのある人だったからだ。アーサーはその金髪の女性に近づいて行き呼んだ。
「リア!」
そう言うと金髪の女性はアーサーの方を向いた。
「アーサーに会えるとは思いませんでした」
「こっちもだよ」
兼続は2人の会話を見て驚いた。たまたま見つけた人がアーサーの知り合いとは誰が思うだろうかという顔をした。
「アーサー、知り合いなのか?」
「うん、ルームメイトで学院ではパートナーだ。それよりなんでこの国に?」
「グリーンウィークに入ったので家族で旅行をしようとなりまして結果行き先がここに決まったのです」
「アーサー、グリーンウィークってなんだ」
「グリーンウィークは1週間くらいある短期休暇のこと。『大いなる自然の恵みに感謝を』が由来でグリーンウィークらしいよ」
「なるほどなぁ、この国の『黄金休暇7日間之日』みたいなやつか」
「多分そんな感じだと思うよ」
「ずっと気になっていたのですがこの方は」
「こいつは飛鳥兼続。俺の友達さ」
「どうも飛鳥兼続って言います。一応雷皇に所属してます」
「飛鳥さんですね。私はオフィーリア・スタンフォードと申します。気軽にリアと呼んでください。それと敬語も使わなくていいですよ」
「じゃあこっちも兼続でいいよ。堅苦しいのは苦手だから」
お互い自己紹介と握手が交わされた。思いがけない再会だったがこれはこれでいいと思った。アーサーはオフィーリアを呼び小声で話した。
「家族でってことはあの人もいるってことだよな。大丈夫なのか」
「ご心配なさらずに。あれ以降父はアーサーに執着してまして今度また会わせてほしいとおっしゃってました」
「それ、あまりいいことではないな」
アーサーとオフィーリアの父オーガストとの一件でアーサーは自分の素性を晒した。アーサー達騎士団は最も皇帝に近い存在の1つだ。それを利用しているのは明白だ。懲りない人である。
「何の話してんだ」
「何でもないよ、こっちの話」
アーサーは会いませんようにと心の底から願った。
3人で城下町を歩いていると向こうの方が騒がしかった。3人は何だろうと目を合わせ走ってその場所に向かった。人混みをくぐり抜け1番中の方まで入った。民衆が見ていたのは模擬試合のようなものだった。1人は薙刀を持った女性、もう1人は刀を持った男だ。3人が見たときには試合が終わったところのようだ。
「姉さん、何やってんですか⁉︎」
「おう兼続か。アルナイルの人ら着いたんだってな」
「そんなこと聞いてませんよ。こんな道の真ん中で何やってるんですか」
「いきなり勝負吹っかけられてな挑んでいたんだ」
薙刀を持った女性はアーサー達の方に近づきながら言った。
「お久しぶりです彩葉さん」
「おう懐いなー、アーサー。何年ぶりだ?」
「4年以内と思います」
「そうかそうか、もうそんなに経つんか。で、その隣の女は?」
「アーサーの友達?ルームメイト?みたいな人」
「オフィーリア・スタンフォードと申します。この度は家族で旅行をしておりましたところ兼続さん達と出会い町の案内をしてもらってます」
「オフィーリアか丁寧な人だな。兼続の友人には勿体無いな」
「余計なこと言わなくても」
「私は南条彩葉だ。将軍直属組織雷皇に所属ている。よろしくな」
「こちらこそ」
男勝りな南条彩葉は手を差し出し握手した。




