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円卓の少女達  作者: 山梨明石
第一章・No.01
10/97

10

「結婚……? それってあの、病める時も貧しい時も一生一緒に居てくれや的な、あの?」

「その結婚という認識で間違っていませんよ」

「……まずは事情の説明を頼む。いささか私の脳が事態を受け入れられず混乱しているらしい」


 御剣が眉間を指で押さえながら言った。うん、私も同じ気持ちだ。

 どうしたらセラフが結婚なんて事態になるのか全く想像が付かないし。


「今まで秘密にしていた事ですから…………そうですね。ではかいつまんで説明しますが、事の始まりは私がこの世界に来てからそう間もない頃、今から約六ヶ月前に遡ります」


 そうして、セラフはまだ私達に出会う前の話を語ってくれた。

 なぜセラフが『聖女』と呼ばれるようになってしまったのか、その詳細な記録である。




―――――――――――――――





 ―――セラフは現実と化した「悠久の大地」の世界の住人となって、まだ一月弱の新参者だ。


「―――あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛………………暇だ」


 聖女―――セラフ=キャットはその日も退屈を持て余していた。

 人払いの済ませた部屋。質実でありながらも、細部に職人芸の光る高価な寝具に大の字に寝そべりながら、乙女が出してはいけないようなだみ声を垂れ流す。


「缶ピー……セッター……マルボロ……いやこの際わかばでもいい……ヤニを吸いたい……あと酒……」


 セラフは口をすぼめて何かを吸う真似を何度か繰り返し、やがてそれが無駄であり虚しさを強めるだけだと悟り顔を歪める。


「くそぅ……俺はなんでこんなとこで寝てんだよぉ……ただの引きこもりじゃねえか……」


 一体どうしてこうなってしまったんだろう。

 そう考えるのは、どうしてどうにもならなくなった後でしかないのだろう。


「そりゃさぁ、俺は歩道橋を渡ろうとする荷物を持ったおばあちゃんが居たら、率先して荷物を持ってあげるくらいには善良だって自覚してるよ? だからちょっと(・・・・)人助けするくらい当然だって思うじゃん……」


 後悔先に立たず。セラフはただひたすらに、己の軽率さを悔やみ続けていた。


「それがなんだって、気がついたら『聖女』なんて大層な呼ばれ方してんだよ意味わかんねーよ!! 俺は神様でもなんでもねーただの一般人だあああああああああっ!!」


 大聖堂の端々まで響き渡りそうな叫び声。しかしながら、その大音量はセラフが事前に発動していた《サイレンス・フィールド》の効果により完全に防音された。





「ここは……どこだ?」


 普段通りコンビニのバイトをして、家に帰るなり「悠久の大地」にログインし、これまた普段通りネカマ(ネット上で男女を偽る事)プレイに勤しみ、騙しあげた哀れな犠牲者からプレゼント(レア装備)受け取って(搾取)していた所、いつの間にかこの世界に居た。

 何かよくわからないポップアップウインドウのYESの文字を、よく確認もしないでクリックしたような記憶がおぼろげにあるが―――とにかく、何が原因なのかは全く分からなかった。

 当初は混乱していたものの、セラフは割りとすぐに順応した。停滞していた生活に何か変化が欲しいと思っていた矢先でもあったし、何よりこんな体験は一生……と言うより百生に一度ぐらいの貴重な体験だと思ったからだ。

 まあ、そう思えていたのは最初の頃だけだったのだが。

 

 初めのうちはとにかく楽しかった。


 生まれてこの方初めて見る美少女の自分(・・)。魅力的な身体に豊かな胸。それらを自由に弄繰り回せるというのは、元男で、それでいて非モテだったセラフにとっては劇薬じみた快感だった。

 この世界に現われた地点が山奥だというのが幸いした。

 二、三日の間、セラフは人気の無い場所で思う存分に何もかもを堪能できたからだ。

 これが街中であればそうはいかなかっただろう。


 そして、プレイヤーキャラクターとして持つ圧倒的な力はセラフを大いに熱狂させた。


 レベル、という分かりやすい指標がある。

 キャラクター、あるいはモンスターなどの強さを具体的に数値で示す為のものだ。

 「悠久の大地」では、プレイヤーキャラクターのMAXレベルは200あった。

 そこまでの高みに至るまではかなりのプレイ時間を要する。だが、セラフはフリーターゆえありあまる時間を惜しみなくゲームに注ぎ込んでいた為、レベルの数値は相当に高かった。

 ―――レベル156。

 それがセラフ=キャットの強さの数値。

 現実と化した「悠久の大地」でその数値は―――強大すぎた。


「…………さて」


 誰も居ない山の中で、その破壊行為は突如始まった。


「偉大なる神の威光を示し、我が神敵を討ち滅ぼさん《ホーリーレイ》」


 セラフが持つ杖の先から聖なる光の光線が横なぎに放たれ、前方一帯の森林が文字通り斜めにカットされる。

 崩れ落ちた木々が立てる騒音に非常事態を察した野鳥が一斉に飛び立つ。

 樹木の切り口は熱で溶解し、泡立っていた。


「内外から見えざる魔手に砕かれよ。そして最後に弾け飛べ《スペクトラムショック》」


 巨大な岩石に向けて杖を振ると不可視の衝撃波が十連続射出され、最初の一発で岩石は木っ端微塵になり、残る残骸は後の九発で完全に粉砕され砂煙と化した。


「罪状の多寡を問わず、罪の薔薇は遍く罪を裁ききる《ギルティ・ローズソーン》」


 罪を背負った相手に特攻ダメージを与える漆黒の薔薇が地面から咲き乱れ、崩壊した森林の残骸を覆い尽くしていく。

 やがて黒色しか見えなくなると、薔薇の棘が倒木に深々と突き立つ音が重なって聞こえ、続けてそれらは爆砕した。


「…………か、かっけぇ……!」


 魔法実験を終えたセラフは、感動に打ち震えた。

 人の手に余る力を手にし、かつそれを制御出来るという実感。向かう所敵無しと確信できる、全能の力。

 この力さえあれば何だって出来る。金も地位も名誉も、思うがままだ。

 セラフの思想が危険色に染まり、彼女が元々持っていた善良な意思が暗く濁り始めるのも無理のない話しだった。


「(最強だ、俺最強だよ! コンビニバイトが一転してチート無双! マジ最高だろ、神様サンキュー! 男じゃないのがちょっぴり残念だけど! チーレム、チーレムいけんじゃね!? ウヘヘ!)」


 舞い上がったセラフは陽気な気分で山を降りる。

 目指すは人里だ。いい加減手持ちのアイテム・バッグに入っていた食料が尽きそうなので、遅かれ早かれ向かっていたのは変わらない。

 ただ、今となっては金の心配も言語の心配も必要なくなった。

 面倒なら全て魔法で消し飛ばしてしまえばいい。

 何もかも焼き払った後で、ゆっくり物資を頂けばいいだけだ。

 あるいは強力な一発を披露した後で、その暴力を背景に脅せばいい。

 自分以外にこの世界に来てしまったプレイヤーが居るのかどうかとか、もしかしたらこの世界の住人はセラフより何倍も強いかもしれないとか、そういった可能性はセラフの思考の範疇にない。

 ありていに言って、セラフは過ぎた力を手にしてしまったせいで、感性が色々とマヒしてしまっていたのだ。


「おお! ここってもしかしてナライか!? スゲーな、やっぱリアルになると迫力がダンチだわ!」


 そんなハイテンションなセラフは、彼女にとっては運悪く―――ナライ法国にとっては神の福音の如く―――法国の地に足を踏みいれ(降臨し)たのであった。


「……にしても何で人が居ない? ゲーム中でもこんなにNPCが居なかったってわけなかっただろ」


 セラフが法国に降り立った頃、法国は例年に無い不作が続き毎日の食事に困窮するほど食糧事情が悪化し、嵐のように巻き起こった流行病によって次々と犠牲者が生まれ、病気で親を亡くした孤児が大量に生まれたがその対応が出来ず、街中で野垂れ死ぬ孤児が出てくるほど世紀末の様相を示していた。


「おいおいゴーストタウンかよ、どうなってんだ」


 骨の浮かび上がったやせ細った野良犬がセラフの前を横切る。

 耳を澄ませば赤子の鳴き声が聞こえ、その中には苦しみあえぐような辛いものも混じっていた。


「………………」


 街は何処を歩んでも同じ光景ばかりが続く。

 時に街角で見つけた白い布切れを探ってみれば、それは赤子を包む布だった。

 中には、赤子ではなくなったものがあった。


「………………」


 虚ろな目つきの子供が、セラフに両手を器のようにして上げるのを見た。

 子供は何度か両手を上下に動かし、かすれた声で何かを訴えている。

 それが、その子供が食料を求める乞食であるとセラフが気づくまで数秒の時を要したのは、セラフが平和な日本で過ごしてきたからにすぎなかった。

 こんな子供が、と、悲痛に胸を痛めながらセラフはその乞食の子の下へ向かう。


「…………ほら、食べな」


 言葉が通じるのかという疑問はあったが、セラフはアイテム・バッグの中から、念のためにと思い残しておいた食料アイテム―――小麦パンだとかだ―――を一つ残さず、惜しげもなくその乞食の子にやった。


「……ぁ……あぁぁ……」


 乞食の子は一瞬何が起こったのか理解できない様子で、しかしながら次の瞬間には涙をぽろぽろと零して何度も何度も頭を下げた。

 まるで冷や水を浴びせられたかのような―――いや、もっと酷い気分をセラフは味う。


「(……一体何を考えてたんだよ俺、バカじゃねえの。こんな街襲った所で、何も手に入りゃしねえよ)」


 セラフは先ほどまでの己を恥じた。

 乞食の子が小麦パンを食べようとするが、相当に長い間食べ物を口にしていなかったのか、口が碌に動かず上手に食べられない。

 見かねたセラフがパンを小さくちぎってやろうとすると―――突然乞食の子を何者かがぶん殴った。


「なっ……!」


 下手人は―――乞食の子と同じく、みすぼらしい格好をした子供だった。

 影からセラフたちの様子を伺っていたのだろう、似たような格好の他の子供達が次々に殺到し、食料を奪い合い始める。

 髪を引っつかみ、顔を殴り、腕に噛み付く、道具で殴る。まこと子供同士の喧嘩とは思えぬ―――殺し合いに発展しかねない争いだ。

 彼らの争いの側で、涙を流したままの乞食の子が一人、倒れたまま動かない。


「(なんだ、これ。お前ら…………なに、何、してんだよ)」


 そんな光景を見てセラフの胸中に到来した気持ちは、筆舌に尽くしがたいものだった。

 今、自分に何が出来るのか。

 この力は何のために使えるのか。

 セラフが―――俺がこの世界に呼ばれたのは、何の為なのか。

 彼女が起こした行動は、半ば反射的なものだった。


「心穏やかに。健やかに。狂奔の獣よ、羊のように《カームダウン》」


 掴み合っていた子供達に浮かんでいた鬼のような形相が、まるで憑き物が落ちたかのように消える。

 《カームダウン》の効果で敵対心を強制的に0に下げられた子供達に向けて、セラフは言った。


「この国で一番偉い人が居る場所を教えて下さい、今すぐに」


 倒れた乞食の子を慈しむ様に抱きかかえ、セラフは目尻に僅かな涙を浮かべ歩みだした。


「……ふざけんなよ、こんなん楽勝だろ。チート能力持ってる俺が全部どうにかしてやる。待ってろクソッタレ、今の俺は最強なんだ! クソックソッ!」


 自分でも何を言っているのか分からなかったし、他の子供達も分からなかっただろう。

 ただ、その時セラフが抱いていた思いは、唯一つだった。

 彼らを助けたい。

 こんな惨状を目にしてまで他人のフリが出来るのは、それは最早人ではないからだ。


「……馬鹿野郎、なんなんだよ畜生。なんでこんな、酷い事になってんだ、俺は許さねえ、許さねえぞ!」


 ―――結局の所。

 セラフは過ぎた力を手にしたところで、元はただのコンビニバイトで、善良な一般人で、軽犯罪の一つも犯したことの無いつまらない人間で。

 その性根は人の倫理観を破壊しかねないチート能力の前でも、変わる事は無かったのである。



 それから一ヶ月の間、セラフは死ぬほど働いた。

 とにかく、その時だけはセラフは前だけを見て動いた。


「孤児を収容する建物が無い? じゃあ建てればいいでしょう!」


 アークビショップであるセラフは、支援魔法をメインに戦うプレイヤーだ。

 当然覚えている魔法も殆どが支援よりな為、単純な石の壁を生み出す《ストーンウォール》を覚えていた。

 その魔法を駆使し簡単な建物をぽこじゃか空き地に建てまくった後、法国の街を彷徨う孤児らを出来る限り収用し保護した。


「食べ物が無い? なら作ればいいでしょう!?」


 セラフは趣味として「悠久の大地」にあったシステムの一つである、「園芸」を嗜んでいた。

 それは単にネカマプレイの幅を広げる為、可憐な乙女が花を愛でるのも悪くないだろうという考えに基づいてだったが、それが役に立った。

 野菜の種はたまたま各種揃っていたし、植物の成長を早める「富裕土」や「天界のじょうろ」を持っていたので、それらを惜しみなく使い荒れ果てていた田畑を耕し作物を育てた。

 一週間もすると、文字通り田畑から野菜が湧き出て(・・・・)きたのでそれを無償で配った。

 それがどれ程異常な光景か多少考えれば理解できたはずだが、その時セラフはとにかく皆を助けたいという一心だったので、残念ながら気がつかなかった。


「流行病? 私が治療しに行きます! どきなさい、どき―――どけと言っているでしょう!?」


 流行病がどんな種類かはセラフにとって知った事ではなかった。いずれにせよ治すからだ。

 いつの間にか何処に行くにも人が付いてくるようになってからは、頼むから止めてくれと懇願されたがセラフは聞く耳を持たなかった。

 患えば死は免れない。そんな重い病気を抱えた人達が隔離された建物に防疫の用意も碌にせずセラフは上がりこむ。

 そして、セラフはスキル《熾天使の祈り》を発動させた。

 跪いて祈りを捧げると、天空から光の柱が降りてきて、その周囲の味方に掛かっているバッドステータスを全て解除するというスキルだ。

 魔法の《エクス・キュアー》で一人ずつ治すという方法もあったが、それでは時間がかかりすぎる。

 病気を患った人はこの建物に居る人だけではないからだ。

 セラフはそう考えてスキルを発動したが、それは傍目から見るとどう見ても聖女の祈りを聞き届けた神が天から降臨し、その慈悲の元に荒らぶる病を癒して下さった奇跡にしか見えなかった。

 そしてそれは、法国の至る所で民の目に映った。まさしく彼女は聖女であると、人々は口々に語った。

 セラフは残念ながら、自分がそんな目でみられている事など露ほども知らなかった。


「私がもっと早く来ていれば、神の血を引いた子が死なずに済んだかもしれなかった? この国の埋葬方法は!? 土葬ですか? 土葬なんですね!? じゃあ墓地へ案内して下さい今すぐに早く!」


 神の血を引くその男の子は、対外的にナライ法国が正当な神の聖地である事を示す唯一の証拠だったが、残念な事にセラフが法国に訪れる数日前にその子は流行病で亡くなっていた。

 その事実は秘密裏に隠蔽され、国民には知らされてはいなかった。何故ならその男子は国の象徴であり、いつか神が救ってくださるという国民の希望を一身に背負っていたからだ。

 その情報をセラフが掴んだのは、猛スピードで国勢が快復した事に世の無常を感じた法国の教皇がぽつりともらした一言からである。

 それを聞いた時、何故もっと早く言わなかったのか、とセラフは憤慨した。

 言ってくれれば蘇らせた(・・・・)からだ。アークビショップにとって、死者蘇生はお茶の子歳々である。

 ただちょっと(・・・・)ばかりエフェクトの派手なスキルを使うだけでいいのだ。

 死んだはずの人間が天から戻ってきたり、天使がそこらへんでラッパを吹いたり、白い羽が舞ったり、ぴかぴか光ったりするだけだ。

 そういう過程を経て、セラフは大した事もなさげに、神の血を引く男の子を蘇らせたのである。


 蘇らせちゃったのである。


 そこまでしてようやく、本当にようやく。

 セラフは自分がどういう風に見られているのか、察せられる余裕が出来たのだった。悲しいことに。



 そして冒頭に戻る。

 ちょっと人助けが、何時の間にやら救国の聖女。

 あれよあれよと祭り上げられ、今では外出の一つも自由に出来ない。

 風呂に入るたびに女の子に陰部に触られるのは恥ずかしくて慣れないし、おべっかをしにくる他国の王族は加齢臭がキツい。

 護衛のガードたちは目がぎらぎらしてて気合が入りすぎていて見てるだけで疲れてくるし、特に聖堂騎士団団長はそれが顕著だ。


「はぁ~~~~~~~~~~~~~」


 長い溜息をつく。

 挙げればキリが無い程に、セラフの周囲の様々な案件がストレスを与えてくる。

 こんな状況になってしまった事に対して、後悔していないかといえば嘘になる。

 正直に言えば、今でも自由を求めている。こんな狭苦しい聖堂の奥ではなく、外に出て旅をして、色んな物を見て回りたい。

 ただ、法国を救えた事だけは後悔していなかった。それは絶対にやるべき事だったと今でもセラフは思っているし、これからもそう思い続けるだろう。


「にしても…………そろそろか」


 ちらりと一瞥し、置時計を確認する。

 時刻は三時頃。このぐらいになると、セラフにとってやや気の重い時間が始まる。


「セ、セラフ様っ!」


 音からも緊張が伝わるようなノックの後、年端も行かない男の子の声が扉越しに聞こえた。


「あーはいはいわかったわかった、今いくから」


 《サイレンス・フィールド》を解除し、セラフは服にシワがついていたり荒れているところがないかチェックする。

 少なくとも()はセラフに絶対の信頼と尊敬を置いているので、それを裏切るのは心苦しいからだ。


「ん、ん゛! …………はい、どうぞ?」


 意識してセラフは柔らかな声を出す。


「し、失礼します!」


 扉を開けて入室してきたのは、背の低い男の子。


「こんにちは、エミル様。今日もお元気そうで何よりです」

「セラフ様こそっ、お、お元気そうですね!」


 頬を赤らめつつセラフを見上げるその男の子の名は、エミル=アークライト二十七世。

 この地に降臨したとされる神、エミル神。

 その血を現代に至るまで脈々と受け継いできた家系の、最後の一人。

 この世でたった一人の、生きる神の実在証明である。


 そして、セラフ=キャットとの将来が約束されている男でもあった。



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