ナハトルマ登場のようですよ!?
5月4日(水)の投稿になります。
少々前半部分にホラーっぽい表現があります。
ヒタリ、ヒタリと真夜中の私の寝室の外から音が聞こえる。音はやがて扉の前で止まり、扉の開く音もしないのにも関わらず部屋の中で再びヒタリと足音にも似た音が響く。
その音はやがて私が寝ているベッドの側まで来るとピタリと止まる。
私は動けない。目も閉じていて部屋の様子も見えない状態だ。
ズッっと私の顔の前になにかが覗きこむ。
それは黒いもの。目を閉じているのに見えるもの。
その黒いものはしばらく私をぽっかりと開いたなにもない、眼球すら存在しない瞳で見続ける。
やがて恐る恐るといった感じで黒い手を差し延ばし私の頬を撫でようとした時。
「ゴメンね。まだ君に逢わせる訳には行かないんだ。」
との声の後、音もなく消え去った。
そうしてやっと身体の自由が戻り、私は声のした方を見やる。
そこにいたのは…
「やあ!久しぶり。」
遊技の神ナハトルマがそこにいた。
「色々聞きたいだろうと思って来てみたよ!」
と言ってニコリと微笑むナハトルマ。
彼はどこからともなく椅子を取り出しそこに腰掛ける。
彼は自分の頬に掛かったその美しい紫色の髪を軽く払うと紫の瞳でこちらを見やる。
彼は…今ははっきりと見える彼の姿。
どことなくお祖父様にも似た顔立ち。イカルガ皇室の誰よりも見事な紫。
「あなたは…
彼は優しく微笑むと、私の言いたい事を感じ取り答えてくれた。
「僕のもう一つの名前は、雷と戦の神マナハトル。」
それは!その名前は…!
「ハル、君の父親だよ。」




