禍津文字のようですよ!?
5月3日(火)の投稿になります。。
お祖父様…記憶の中にあるお祖父様より少し痩せた?心配掛けたのだろう。思わず駆け寄ろうとした時。
「ようございましたな陛下!」家臣団がいる中から一人の男が進み出てきた。
お祖父様の許し無く。
「キナバ殿!陛下の御前ですぞ!不敬であろう!」
横にいた、家臣の一人がキナバの肩を掴み後ろに下げようとするが。
「ぐわっ!?」
いきなり突き飛ばされ倒れる。
「ようごじゃいましだなべいぐぁー!」
そしてお祖父様へ向かって駆け寄ると懐から隠し持っていた短刀を振りかざしお祖父様へ振り下ろす!
「お祖父様!?」
しかし。
いつの間にかお祖父様の前に立ち塞がった男性がいた。
彼は腰に下げた刀を半ばまで抜き、その柄頭で短刀を受け止めると刀を引き抜く動作で短刀を弾き飛ばしそのままキナバに斬りつけた。
峰打ちだったのだろう。キナバは血を出すことなく倒れ伏した。
「アラハバキ流『小波』…」
ヤツバさんが呟く。
ほっと息を付く暇はなかった。
キナバが倒れると同時くらいに私達の側にいた衛兵が数人突然槍を構えこちらに突き出した。
「させるかっ!」謁見のため刀を帯刀していなかったヤツバさんだったが、なんと無手で槍を掴むと勢いを利用してその衛兵を投げ飛ばした。
他の衛兵もニーニャさんが蹴り上げカザリが突き飛ばし、兄様が押さえつけた。
残りはまともな衛兵が押さえつけていた。
「静まれいっ!」
動揺でざわつく中お祖父様を庇った男性が声を上げた。
「父上…!」
ヤツバさんの声でこちらを見やった男性は一瞬ヤツバさんに微笑むと、まともな衛兵に指示を出し暴れ出した衛兵やキナバを捕縛すると、謁見の間から引き立てていった。
呆然としていると、ひと頬に誰かの手が添えられた。
「ハル…無事でよかった。
「お祖父様…!」
私は迷うことなくお祖父様の胸へと飛び込んだ。
謎の暗殺事件が起こってから三時間ほど過ぎていた。
現在私達は、私の自室に集まっていた。
記憶の中のまま。部屋は綺麗に手入れがされていた。
『変わっていませんね…」ナビ先生も官界深げに呟く。
思い思いに部屋で皆が寛いでいると扉がノックされる。
「どうぞ。」入室の許可を出すと?先触れでツヨが入ってきてその後にヤツバさんのお父さんそして、お祖父様が入ってきた。
お祖父様が入ってきて皆が平服しようとしたがそれをお祖父様が留めた。
「よい。楽にせよ。」
そして、椅子に腰掛けると、暗殺事件で現在分かったことをヤツバさんのお父さん、クロウさんが説明してくれた。
「まず暗殺を企んだ者達ですが…現在も意識が戻っておりません。しかし身体を検索した結果、このような文字が。と言って、文字が書かれた紙を見せる。そこには…
「禍津文字…」
あの忌まわしい文字ご書かれていた。
と、言うことは。
「アメン教が絡んでいると言うことか。」
兄様の答えにクロウさんは頷いた。
「我々の調べでもこの禍津文字についてはある程度調べが付いております。そもそも、犯行に及んだ者達は身元も確かであのような凶行に走る者達ではなかったと。」
つまり操られていたと…
「アメン教…忌々しい奴らよ!」お爺様がその紙を見やりながら吐き捨てる。
まさかイカルガの宮中にまでその手が及んでいるなんて…
「悠長にしている暇はなさそうだな。」
兄様がお祖父様に向き直る。
「俺は直ぐにルーチュに行こうと思う。」
「ザック殿、まかせてよいか?」
兄様はお祖父様の問いかけに力強く頷いた。
「私も行きます!」
お祖父様は私をジッと見つめた後ため息を付くと首を振りながらも認めてくれた。
「これも定めか…」
お祖父様の呟きは私には聞こえなかった。