帝都へ!のようですよ!?
5月1日(日)の投稿になります。
イカルガ大陸西部、イスカリア大陸の海洋貿易の玄関口の一つ、イササギの街。
埋め立てにより所謂出島となった街である。
そのイササギの中にあるラナルカンド人を招く迎賓館に、現在私達は2日ほどお世話になっている。
「そういえば、イササギで逗留したことはなかったなぁ。ハル嬢はどうだい?」
と、ソファーに横たわり完全リラックスモードの王太子が呑気な声で質問してきた。
「そもそも来るのは初めてですね。」
と言うか、帝都から出た覚えがなかったりする。
他の皆も思い思いに寛いでいたが、やがて外が騒がしくなってきた。
「ああ、どうやら到着したようですよ。」
外を見てきたカザリかそう言って意味ありげに微笑む。
気になって外を窓から覗いてみれば、何匹かの騎馬が迎賓館の入り口に止まっていた。
一際見事な馬の鞍には誰もおらすすてに中へ入ったようだ。
そして、部屋の外に数人の気配があり慌ただしくドアが開けられ一人の老いた武者が飛び込んできた。
「おおお!ひぃ様じゃ間違いなくひぃ様じゃ!!」
そう言って私の前に平服し感極まったように涙を流すのは…
「じい?ゴンじい?」
老いる前は、イカルガ帝国の侍総大将も勤めた事もある、私の教育係のゴン・アザキがそこにいた。
「そうでございます!よくぞよくぞご無事…と、言えばよいのか、とにかくじいはこの日を一日千秋の思いでお待ちしておりましたぞ!」
平服したままで顔だけ上げてゴンじいは答えた。
私はそんな彼を立たすと思わず抱きついた。
「ひぃ様!?」
懐かしい…やっとイカルガへ帰ってきた実感が湧きます。
そしてあやふやだった記憶もいくらかは霧か晴れたような感じがします。。
「ゴン老、ご苦労様です。まさかご本人が来られるとは。」
カザリが抱きついた私を回収しながらゴンじいに挨拶した。
「おお、カザリか。こたびの任務大儀であったな!そくぞ任務を果たした!陛下からも追ってお言葉もあろうが、ひとまずはよくやった!」
厳めしく顔をしかめていることが多いゴンじいが満面の笑顔でカザリを誉める。
「む?そちらの御仁は?」
と言ってニーニャさんとヤツバさんを見やる。
「初めてまして。自分はヤツバ・アラハバキと申します。」
ますヤツバさんから自己紹介をする。
「なんと!アラハバキ家の御息女か!修行の旅に出ておられると聞いておったが、ひぃ様と一緒だったとは。それてそちらは?」
「ニーニャだ、です。」
慣れない敬語を使おうとしたのか、舌を噛んだようで顔をしかめた。
「よいよい、無理に敬語を使わんでも。ワシはいわば隠居したただの爺よ。それよりも、もしやそなたもひぃ様をお助けして頂いたのかな?感謝いたす。」
そう言って深く頭を下げる。
そうやっていると、王太子達がおっとり刀て駆けつけた。
「おお、ザック殿!もしやザック殿もひぃ様と?」
「久しぶりだなゴン老。縁あってな。」
「シャルハーン殿下には、船の用意までしていただいたようでなんとお礼を言えばよいか…」
ゴンじいはまた深々と頭を下げる。
「いえいえお気になさらず。イカルガに用もありましたので。」
どうやらカザリが、早馬て帝都に連絡を入れていてようだが、帝都まではここから、7日ほど掛かるはず。ゴンじいはどうやって2日でここまで?
私の疑問に顔をしかめながら答える。
「ひぃ様の気配を感じて…であればよかったのですが、そうではなくこの近くにある村で反乱騒ぎがありましてな。それは鎮圧したのですが、その事後処理に駆り出されましてな。そこで早馬を見かけ問いただした所、ひぃ様が戻ってこられた事を知っていてもたってもおられず少数の兵を連れやってきた訳ですじゃ。」
なるぼど、しかし反乱とは…
「さあ、こうしてはおられませんぞ!早く帝都へと向かいましょうぞ!」
ゴンじいは張り切って仕切りだした。
準備だけは済ませていたので私達は慌てることなく帝都への旅支度を整え馬車へ乗り込む。
護衛にはゴンじいとその兵、そして王太子の護衛兵の総勢二十人ほど。
一度ゴンじいのいた村にいき、引き継ぎを済ませて改めて帝都へ向かう事となった。
さあいざ帝都へ!