顔合わせのようですよ!?
4月26日(火)の投稿になります。。
シャルハーン率いる視察団野営地。
ラナルカンド王太子であるシャルハーンの領土視察はかなりの規模の筈だがここには十人もいない。
「ほかはダミーとして動いているよ。」
との事だが王太子自身が動き回っているのはどうなのだろう?
私の疑問もどこ吹く風と、シャルハーンは呑気に紅茶などを飲んでいる。
そのうちヤツバさんが皆を連れてきたようだ。
「姫様ご無事ですか?」
カザリが心配そうに近づいてきたが私が睨むと、つと目を逸らした。
「やはり、情報をワザと向こうに流しましたね!」
「そちらのほうが手っ取り早いかと思いまして。」
観念したのか開き直ったのか、カザリはしれっと言ってきた。
全く。『カザリは昔からそんな所がありました。』
ナビ先生も呆れたように言った。
皆が集まった所でシャルハーンが口を開く。
「さて、事情はもう知っていると思うけど、改めて説明しよう。僕はシャルハーン、この国の王太子をやっている。こっちは僕付きの護衛兼相談役のフィーリス。」
「フィーリス・ル・ヤール、一応伯爵です。」苦虫を噛み潰したような表情で彼は自己紹介を終えるとまたムスっとした顔で黙り込む。
「気にしないで!この顔は生まれつきだし、さっきの失敗が後を引いてるだけだから。」
あっけらかんとした言いようでフォローになってない事を言うシャルハーンにフィーリスが食ってかかる。
「あなたは!余計なことを。あと、顔のことはほおっておいてください!」
まだなにか言いたそうなフィーリスを無視してシャルハーンが続ける。
「元々この視察は国内の不穏分子をいぶた出すのが目的だった訳だけど。意外な大物が釣れた訳で。」
「アメン教か…」
兄様の答えに頷きながら話を続ける。
「こっちも精鋭を揃えたつもりたけど、一つ誤算があってね。」
その後をニーニャさんが後を続ける。
「それが、ギ=ザザって訳かい?」
「その通り!でまあどうしようかと思っているとこっちの情報網に引っ掛かってきた物があってね。」
「あからさまな感じで怪しかったが、一応調べておこうとしたんだが…殿下が独りで接触しようとしたので慌てて追いかけたら君達にたどり着いた訳だ。」
幾分表情が柔らかくなったフィーリスが説明した。
「…で、私達と手を組みたいと?」
馬車で説明されたが確認のためにもう一度聞く。
「そう!暴竜喰らいザック・ラーに、今売り出し中のAランク冒険者パーティー『楽園の乙女』!手を組むのにこれ以上の人選はないよ!」
と嬉しそうに両手を広げる。なんとも一々芝居がかっている人ですね。
さて…問題はこの申し出を受けるかどうかですが。
「私は賛成ですね。そもそも王太子側にバレずに行動するのは無理がありましたし。後、隠蔽の手間が省けます。」
とのカザリの発言に皆は納得するしかなかった。
「わかりました。協力しましょう。」
私が了承すると、シャルハーンはその胡散臭い笑顔を深めて感謝を述べた。
気持ちを切り替えましょう。より有利になったと思うべきですね。
カザリ主導でギ=ザザ討伐作戦を練り直すことになった。