魔具はチートのようですよ!?
4月19日(火)の投稿になります。
街に戻ってウェルザさんに依頼達成報告をした時、事件は起こった。
確認のために渡したカードを調べていたウェルザさんが、困惑した表情で聞いてきた。
「あの、ハル様のカードにギ=ザザの遺体が収納されていたんですよね?」
「はい、そうですが?」
どうしたんだろう?ウェルザさんは困ったような顔でもう一度カードを確認している。
「すいません、他の方のカードも見せてもらえますか?」
そう言われたので全員がカードを渡すが…
「やはり…どなたのカードにもギ=ザザの遺体はおろか、討伐記録もありません。」
と言われた。
「はあ?どういうことだい?あたし達はたしかにヤツを倒して遺体もちゃんとカードに入れたよ。」
ニーニャさんの言葉に便乗するように今回の依頼主であるギ=ルルさんも口を添える。
「タしかに私も確認しましタ。まチがいなくギ=ザザ本人だったと。」
依頼主の言葉にもウェルザさんは難しい顔を崩さず考え込んでいる。
ちなみに取り巻き達の遺体はあったようだが。
「これは…ハル、ヤツの持っていた武器を出せるか?」
兄様は何かに気付いたのかこちらを見やるとギ=ザザの持っていた槍を出せと言ってきたのでカードを返してもらい取り出すが…
あれ?アイテムボックスから槍を取り出したのだが。
「蛇の抜け殻?」ヤツバさんが私が取り出したモノを見てそう言った。
そう私が取り出したのはペラペラでかろうじて槍のように見える蛇の抜け殻のようなモノだった。
「ハル鑑定してみろ。」
兄様に言われて鑑定眼を発動させるが…
『鑑定結果は蛇骨槍(抜け殻)とだけ出ました。』
最初に鑑定した名前に抜け殻って言うのが増えてますね。
でもこれだけしか情報がないのですか。
『これだけではなんですので、この名前から検索を掛けてこの武器自体を調べました。結果は名称、蛇骨槍アペプ。能力としては槍自体が持ち主の意思により変幻自在に伸縮すること。あと、持ち主の血を穂先にある程度吸わせることで脱皮しその抜け殻は本体よりは弱くなりますが、持ち主が死んでもその抜け殻を装備していれば本体の側にて復活できます。』
なにそれ!?チートですか!無敵すぎでしょうそれ。
『ただし、一回の脱皮にはそれなりの時間が掛かりますし、抜け殻を持ち主が持っている間は脱皮できません。』
そこまで無敵という訳ではなさそうですね。それにしても。
私が鑑定で得た情報を皆に伝える。
「つまり振り出しに戻ったってことかい?」
ニーニャさんは疲れた表情でぼやいた。
兄様はと言うとものすごい顔をしている!?
「くそっ反応がないから油断した。」
「どうしたんですか兄様?」
私が声を掛けると冷静になった兄様が説明をしてくれた。
「その槍だが、ラーの遺産の一つだ。アペブの名前は聞いている。だが、鑑定では名前はでなかった…そうだな抜け殻で本物じゃないからか?ハルの鑑定スキルはすごいのだな。」
いえいえすごいのはナミ先生ですけどね。
「とりあえず情報を一から調べなおしましょう。失礼します。」カザリはそう一言断ってからギルドを後にした。
「俺も調べたいことがある。アメン教が絡んでるかどうかで話も変わってくるからな。」といって兄様もどこかえと行ってしまった。
「自分達はどうしましょう?」
とヤツバさんが聞いてくるがそうですね。
「依頼主の護衛じゃないのかい?相手はギ=ルルがいることを知ったんだろうし。」
「狙ってきますかね?」
「たぶんね。」
なるほど、たしかに自分の命を狙っている存在を放置はしないか。
では私達はこのまま護衛につくということで。
そうギ=ルルさんに提案する。
「アリがたく受けさせてモらいます。…ヤツがこっちヲ狙えば居場所がすぐにワかるのですが。」
まあたしかにそうですが。本人が来るかどうかはわからないでしょうねえ。
さて、なんかめんどくさい感じになってきましたよ。
長丁場になりそうな雰囲気をひしひしと感じながら私達はこれからの計画を練り直すのだった。




