ギ=ザザ討伐のようですよ!?
4月18日(月)の投稿になります。
取り巻き達との闘いは大したことはなかった。
早々と制圧に成功し残るはギ=ザザのみとなった。
ギ=ザザは普通の、ギ=ルルさんの護衛のリザードマン達よりさらに大柄で、その鱗の色は薄汚れているがその色は青。
その巨体から繰り出される武器は槍というか三又の所謂トライデントと呼ばれる物だ。
「いいねえ!元氏族の巫女さんにオンナがこんなに…後で楽しめそうだぜ!」
などと言ってはいますが、その動きは決して粗野な動きではなく正確な攻撃、動隙もなく無謀な攻撃もしてこない。
兄様の攻撃すらみごとに捌いている。Aクラス相当というのも納得の動きです。
「あいつやるねえ。」ニーニャさんが取り巻きを縛り終えて余裕ができたのかそう言って感心している。
「オラオラ!数で攻めてこないのかっ!?だが何人きても俺様には勝てんがなぁ!!!」
と気勢を上げつつも障害物を利用し一斉に攻撃できない位置取りを心がけているあたりかなりの策士ではないだろうか。
「言葉とは裏腹になんとも堅実な動きをしていますね。」とヤツバさんもギ=ザザの戦い方を眺めている。
「ギ=ザザは性格は兎も角、こと闘いニなるト恐るべき戦士になりマす。いくらザック様が暴竜喰らいであっても一人では危険でハ?」
後ろからおずおずとギ=ルルさんが尋ねてきたが仕方ないでしょう。
「ああも楽しそうにしているザック様を見るのは何年ぶりでしょうか。」
カザリは周囲の警戒を続けつつもそんなことを言った。
何時もは無表情な兄様が薄っすらと笑みを浮かべていた。
こちらが攻撃に加わらないのを見て取ると、ギ=ザザは一転して攻勢に移った。「ギャハッ!たった一人で俺様に挑もうってか?あめえんだよお!」
そんなことを言ってはいるが、その攻撃は言動からは考えられないほど油断なくつねに私達を視界に入れるように立ち回っていた。
「巫女さんよぉ。まってなこいつを殺したら次はオメエだぁ!」
ゴオッ!
突然大振りになった槍がまるで大蛇のように伸び兄様に迫るが兄様は余裕を持って避ける、が。
その槍は捕縛した彼の手下を三人ほど刺し貫いた。
「ゲヘッ!失敗失敗。まったくオメエが避けるからカワイイ俺様の部下が死んじまったぁ!!」
そんあ勝手なことを言いながらさらに槍を振るう。その槍捌きはまるで。
「蛇槍のザザ…氏族でハそう呼ばれテイました。」
ギ=ルルさんが侮蔑もあらわな声でそう吐き捨てた。
「あれはおモに捕らえた者によくあの槍術を使って見世物のように殺シていました。」
想像以上に外道なんですが。それよりも。
ヂ=ザザの、おそらく魔具であろうその槍は、まさに変幻自在。間合いすら変える槍をもって兄様を追い込もうとする。
それはリザードマンの追手を幾度も返り討ちにしたというのも頷けるほどの鋭さでもって襲い掛かる。ですが。
「なかなかの腕だ。武器もかなりの業物だ。だがそれだけだ。」
それまであまり攻撃をしてこなかった兄様が突然暴風のごとき激しさでギ=ザザの攻撃を弾き飛ばす。
「グオッ!なんだこいつ、動きがさっきとは大違いだっ!?」
これまで手を抜いていたのか兄様の剣がギ=ザザの天然の鎧たるその鱗に当たり火花を散らす。
攻撃をしてはその体に傷を受け攻撃を受けるごとにその動きが鈍る。
さしものギ=ザザも余裕が無くなったのか、それとも疲れからか動きに精彩を欠くようになってきた。
そしてわずかに体捌きが遅れた隙を見逃す兄様ではなく、重い一撃を槍に叩き込みギ=ザザの手から槍を弾き飛ばすと返す刀で袈裟懸けに切り捨てた。
「俺、様が負けただと…」
ギ=ザザは信じられないといったような呟きを残し事切れた。
終わりはかなりあっけなかったがひとまず。
「お疲れ様です兄様。」
私の言葉に一つ頷きで返すと、チラと自らの剣『ラーの腕』に目を落とす。
「ハズレか。」
つまりギ=ザザはラーの遺産によって力をつけて傲慢な性格になった訳ではなく元からだった訳ですね。
私達は後始末、ギ=ザザの遺体と死んだ取り巻きをギルドカードに納め生き残った取り巻きは街へと連れていくことになった。