ギ氏族の巫女のようですよ!?
4月15日(金)の投稿になります。
ギルドの奥にある個室へと通され、そこで待っていたのは美しい青い鱗のリザードマンだった。
体つきは細くなんとなく女性ぽい気がします。まあリザードマンの性別なんてわからないんですが。
「こちらが依頼主のギ=リリさんです。ギ=リリさん、こちらが今回依頼を受けるAランク冒険者パーティー『楽園の乙女』の方々です。」
「はじめマしてワタしは、ギ=リリでス。」
ちょっとたどたどしい口調で挨拶をしてくれるギ=リリさんに私達も自己紹介をする。
「あたしはファルーカ氏族のニーニャだよ。まさかギ氏族の巫女にこんなところで会うなんてね。」ヤツバさんとカザリの後に続いたニーニャさんがそんなことを言った。
「ワたしもあなたノことは聞き及んでイまス。ファルーカの風の戦士よ。」
おお、ニーニャさんなんかかっこよさげな名前があるんですね!
ちなみにリリというのは巫女を表す名前で個人名ではないらしい。
ギ=リリさんはニーニャさんに軽く頭を下げた。
巫女ってことはかなり身分が高いのでは?それなのに一人で…『マスター、隣の部屋に数人のリザードマンの反応があります。』
なるほど。隣に控えているんですね。
「俺は『楽園の乙女に臨時加入しているザック・ラーだ。』
兄様の自己紹介を聞きギ=リリさんが驚愕、いや表情は分からないけど雰囲気で、の表情を見せた。
「ナンとかな、竜殺しよ。ワが神の配慮に感謝ヲ。これならあルイは…」
と、ギ=リリさんは畏まった態度で兄様に返礼した。
さすがに兄様の名声はすごいんですねえ。と感心しつつ最期は私が。
「初めまして。私が『楽園の乙女』のリーダーのハル・スメラギです。」
私が挨拶を終えると、ギ=リリさんは突然床に崩れ落ちたように跪いた!?
「オオお!いと尊き御方ヨ!部屋にお入りになラレた時からモシやと思っテましたが、偉大なる雷と戦いの神マナトハルの愛し子よ。イカルガの貴種たる姫君よこの出会いは神の思し召しか!これならギ=ザザを倒すことも容易やもしれない。」
いきなり姫だとばれましたよ!?
『ふむこのリザードマン、どうやら神気を感じられるくらいの力はあるようですね。とすればかなりの高位者ではないかと。』
ところで巫女なら女性なのでリザードマンだとおかしい気もするんですが。などと考えていると廊下側の扉の方、つまり私達が入って来た扉に気配を二つ感じました…
同じように感じたのか、ヤツバさんが何も言わずに素早く近づき、扉を開けはなつ。そこにいたのは…
聞き耳を立てていたのか扉に耳を当てるよな恰好で固まるシャルティナさんとそれを止めようとおろおろしているラナさんがいた。
「あなた達はっ!?なにをしているのっ!」ウェルザさんが二人を見て怒鳴りつけたが、それどころではないようでシャルティナさんは顔を真っ青にさせてブルブル震えていた。
シャルティナさんは涙目で震えながら私の方を見るといきなり平服した。
「も、もも、もしわけありませんんんっ!わらひハル様がお姫様だと知らなくてえっ死罪ですか?死罪ですよね?一族郎党皆殺しですよねえええええっ!!??ああお母さんお父さんごめんなさい。シャルは志半ばで息絶えることに…」
なにやら盛り上がってますが面白いのでしばらくほおっておきましょう。
さてとラナさんの方を見れば、立ったまま気絶しているっ!?
隣の部屋で待機していたリザードマン達が、騒ぎを聞きつけ部屋に乱入してきてギ=リリさんにたしなめられたり、ウェルザさんがラナさんを部屋のソファーに寝かせ、シャルティナさんをげんこつで黙らせたりして、このカオスな状況はようやく収まった。
あれですね、ウェルザさんはシャルティナさんには容赦がないような。
「大変お見苦しいところをお見せしました。」ウェルザさんがギ=リリさんや私達にそういって頭を下げた。
どうもシャルティナさんが聞き耳を立てていたのは、この依頼がかなりの難易度であり、ほとんどの人間が依頼を受けることすらできなかったのに私達が受けれたことが珍しかったからと、あと一つは噂のザック・ラーを見たいというミーハーな考えであったらしい。
「そうしたらですね、ハル様がイカルガのお姫様だという言葉が聞こえてきて…」
さすがにシャルティナさんは何時もの元気がない。ラナさんはようやく気絶から回復して改めてウェルザさんに叱られていた。
まあラナさんは巻き込まれただけのような気もしますが。
さて、シャルティナさんとラナさんを部屋から追い出した後、仕切り直しで改めて依頼の話をすることになった。
その依頼の内容とは。