寝具は大事なようですよ!?
4月14日(木)の投稿になります。
明けて翌朝、約束の時間はお昼前でしたが、それまでに今出来る準備を整えておこうということになり行動を開始する。
依頼主の意向で、いきなり出発しろと言われることもあるそうだ。
なので長旅でも大丈夫なように食料調達係のニーニャさん、ヤツバさん。武器などの類に兄様。備品調達係に私とカザリで手分けして揃えることとなった。
お昼前にはギルド前に集合ということでそれぞれ街に繰り出した。
「まずは寝袋の新調ですね。姫様のはかなりよれてきているので。」
…そんなにボロボロではなかったような気もしますが、絶対これだけは譲らないとばかりに道具屋へ向かって足を進めるカザリ。
かなり大きな道具屋へたどり着き中へ。かなり大きいですね。前世のデパートほどではないですが。
そこにはいろいろな物が綺麗に整頓されて並べていた。店員に案内され寝具コーナーへ。
そこにはかなりの種類の寝具がそろっており、目的の寝袋も専用のコーナーがあった。
「へえ、いろいろありますね。」
物珍しさに二人できょろきょろしていると、商売のチャンスとみたか一人の男性店員が寄って来た。
「お客様、なにかお探しでしょうか?」
カザリが長旅にも耐えられるような寝袋が欲しいと告げると、店員はいくつかの質問をしてきた。
予算はどれくらいか、寝心地と頑丈さではどちらを優先させるか。そうして一度店員が奥にひっこんですぐに2、3個の寝袋を持ってきた。
「お客様のご期待にそえられる商品ですと、こちらになります。通常品…といっても高級品が一点と魔具が二点になります。どうぞお手に取ってお確かめください。」
では…まずは通常品から。おお、外はしっかりと、だけどちょっと固めで中は柔らかで寝心地がよさそうですね。
「ふーむ、これだと仕舞うのに嵩張りそうですね。」とカザリは不満そうだが、どうせギルドカードに収納できるのに、などと私は思うがそこはカザリのこだわりなのかもしれない。
次に魔具の方は…おおお、外も柔らかな生地で出来ていて中もやっぱり柔らかくこれもいいですね。
「この柔らかさで、それでいて丈夫とは…破れにくさを重点に置いた魔法が掛けてありますね。しかし、逆にいえばそれだけです。」
これもカザリを満足させるには程遠いらしい。店員さんも困って…ない?むしろ我が意をえたりとばかりに最後の一つを差し出した。
「これならお客様のお眼鏡にきっと敵うと確信しております。ですが…」
と店員さんが最期言いよどんだが、まずは確認を。
おおおおっ!?そっと寝袋の中に手をいれた瞬間、変な声が出そうになった。
ただ柔らかいのではなく、ふんわりと包み込むような感覚、そしてほんのりと涼しいのは温度調節の魔法でしょうか?生地もなにやら希少なモンスターの皮を用いているらしくよほどのことがない限りやぶけることはないという。
サイズは使う者の大きさに自動調節されるとか至れり尽くせりです。さらに、仕舞うときはコンパクトに縮むという便利さ!これで金貨3枚は…
高っ!?金貨3枚って高いよっ!?金貨3枚ってことは…寝袋1つに300万円ですよっ!?
店員さんが言いよどんだのはこれだったのですね。
さすがに王国から報奨金を貰ったとはいえ、まだほかにも買い物もある訳ですし。
その前の魔具は銀貨30枚と、とてもお安くなっており…いやまてよ、それでも30万はするのか…さすが魔具は高いですね。
銀貨30枚ならまあ出してもいいかなと金銭感覚のマヒしたことを思った時、カザリの買った!の声に思わずカザリを二度見した。。
「ちょっ!?カザリ買うんですか!?」
「もちろんです。これほどの品、ひ、ハル様にふさわしいかと。」
そういってカザリは店員と値段交渉を始めた。
よかった、その金額のまま買うんじゃないんですね。
結局、最高級の金貨3枚の寝袋が1つ、これは私用だそうだ。と銀貨30枚のを4つで金貨2枚と銀貨40枚まで値切っていた。
よい買い物をしたとホクホク顔のカザリと、疲れ果てしかし満足気な店員の顔が印象的でした。
そうして、他の入り用品を買っていたら待ち合わせの時間が近づいていた。
支払いを済ませ私達は冒険者ギルドへ向かった。
ギルドにはすでにヤツバさん達も到着していましたが疲れ果てた顔のヤツバさんとほのかにお酒の香るニーニャさんを見てご愁傷さまと心の中で告げる。
カウンターに行き、私達が到着したこをウェルザさんに告げるとすぐに奥に案内してくれた。
どうやら依頼主はすでに来ているようだ。
奥にある小部屋に案内されウェルザさんがノックをすると、返事があり中へ入る。
そこにいたのは、青く輝く鱗を持つ一人のリザードマンだった。
…あれ?寝袋買うだけで話が終わったぞ?